もちろん大臣を退任したからといって、偽造文書提出や国会での虚偽答弁によって森友事件の真相を隠してきた責任は問われる。石井氏は自身の答弁と相反する事実を前に、まず謝罪表明すべきではないか。
一方、財務省が作成した「17枚試掘写真資料」でも偽装があったことは、当サイトでも報告した。18年3月に朝日新聞のスクープで明らかになった同省決裁文書の改ざんとこの写真偽装によって責任を取らなければならないのは、麻生太郎財務相も同様である。
すでに、もみ消すことのできない事実は積み上げられ、国交省、財務省、そして安倍首相の犯罪事実を立証できるレベルにまで整理された。小川敏夫氏が参議院副議長就任前の立憲民主党常任幹事の時に、上梓した『日本崩壊―森友事件黒幕を追う』(電子版出版)は、森友問題の首謀者への告訴状そのものであり、安倍内閣への挑戦状といえるのではないか。
安倍首相が今回の内閣改造で小泉氏と萩生田氏を大臣に抜擢したのは、犯罪容疑追及から逃れるために表と裏の役割を持たせるためであろうが、石井氏の退任だけで済ませようとするのは許されるのか。
試掘写真資料は、値引き根拠ゴミの唯一の証拠として出された
改めてこれまでの経緯を追いかけてみると、石井氏が森友問題の真相隠しで働いた役割は、麻生氏と同等であったことがわかる。
もともと森友学園の用地は、国交省大阪航空局が空港の騒音対策で周辺住居を買い上げ、更地にして今後の利用方策を待っていた土地である。国は、その土地の約半分を豊中市に避難公園用地として売却した。その払い下げ価格が約14億円である。残りの半分が森友学園に1億3400万円で売却された。約10分の1であり、だからこそ大騒ぎになった。国民の誰もが、安倍首相夫人の昭恵氏が森友学園の名誉校長を務めていたから“ただ同然”に値引いたのであろうと疑い、「忖度」が流行語になった。
値引きの理由に関する国の説明は、驚くものであった。学園用地内の地下深部に大量の埋設ゴミがあり、その撤去費分を値引いたという。元住宅地であった用地は、田んぼから住宅地にするにあたってガラ(石やコンクリートアスファルト等)を投入して3mの深さくらいまで土砂を埋め立てて整地する。その深さ以上の地下深部から産廃ゴミが大量に出てくるという話は、嘘にしても質の悪い嘘である。