収穫の秋を前に、日本の農業、食料計画の先行きに不安を示すデータが相次いで発表された。
まず、国内の食料消費が国内の食料生産でどの程度賄えているかを示す「食料自給率」の低下だ。
農林水産省の発表データによると、2018年度の食料自給率はカロリーベース(基礎的な栄養価であるエネルギーに注目した熱量をベースとした指標)で37%と前年度から1ポイント下がり、冷夏で米が大凶作となった1993年度と並ぶ過去最低の数値となった。供給熱量2443kcal(分母)に対し、国産供給熱量が912kcal(分子)だった。天候不順に見舞われた北海道で小麦や大豆の生産が大きく落ち込んだことや、牛肉、乳製品の輸入増加などが指摘されている。ちなみに、生産額ベースの自給率は66%で前年度と同じだった。
世界各国の食料自給率(2013年=農水省試算・カロリーベース)を見ると、カナダの264%を筆頭に、オーストラリア223%、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、スペイン93%など。いずれも農業大国の実力をいかんなく発揮している。隣国の韓国は38%(17年)で日本と同水準だ。
日本の食料自給率は1965年度には73%と高水準だった。71年度に58%と60%を切り、89年度には40%台に突入。その後も横ばいや低下傾向が続き、37%にまで落ち込んでしまった。政府は2025年度の自給率の目標を45%に設定しているが、現状では上向く兆しは見られない。
農業従事者の平均年齢66.8歳の衝撃
食料自給率の引き上げには生産基盤の強化が不可欠だが、肝心の働き手はどうなのか。
18年時点の農業就業人口は175万3000人。10年の260万6000人と比べ、8年間で85万3000人、33%もの大幅減である。農業従事者の平均年齢は10年の65.8歳から66.8歳に上がっている。高齢化の進行と離農の現実が顕著である。
一方、新規就農者は前年に比べわずかに増え5万5810人。2年連続で5万人台にとどまったが07年の7万3460人、15年と16年の6万人台に比べ、減少傾向は明らかだ。深刻なのは49歳以下の若手新規就農者数の落ち込みだ。18年は1万9290人で前年比7.1%減、5年ぶりに2万人を割り込んでしまった。内訳は、実家の農家に就農した「新規自営農業就農者」が9870人(2.2%減)、農業法人などに雇用された「新規雇用就農者」が7060人(11.3%減)、土地や資金を独自に調達した「新規参入者」が2360人(12.9 %減)となっている。
有効求人倍率が1.61(18年)と上昇するなかで、さまざまな産業で人手不足感が強まり、農業以外に流れたものと見られている。新規就農者全体で見ると65%が50歳以上である。定年でサラリーマン人生を終えた農家出身者が実家の農業を継ぐ定年帰農者が増えているという。
これからの日本の農業を支える柱となるべき若手の新規就農者が減っているのは、農業生産の基盤強化にとっては大きな不安材料だ。