世界的異常気象で日本の食料確保に危機…「低」食料自給率の裏に米国の外圧
「日本の食料自給率が異常なまでに低い」といった話は、どこかで耳にしたり目にしたことがあるのではないでしょうか。この「食料自給率」には、いろいろな考え方があり、また計測の仕方によっても結果はまちまちです。しかし、いずれにしても日本が食料自給率の低い国であることに変わりはありません。
どうしてそうなってしまったのかといえば、それはひとえに日本政府がそのような方針を立て、政策をつくり、実行してきたからです。つまり、この現状は私たち自身が望んだ結果だともいえます。そしてその背後にはアメリカの思惑が色濃くあり、その呪縛からはそう簡単には逃れられない仕組みになっています。
しかし翻って日本のことを中心に考えるのであれば、食料自給率は高いほうがいいと、筆者は考えます。外国に依存している食料調達のあり方は、今後、問われていくことになるでしょう。
それは今現在、世界的な天候不順が次々と起こっており、直接的、間接的に、食料生産に影響を与え、暗い影を落とし始めているからです。
たとえば、アメリカのサウスダコタ、ネブラスカ、オクラホマ各州などでは、長期間にわたって寒波が停滞し続けたため、春の到来が遅れ、種まきができなかったために、トウモロコシや大豆などに甚大な被害が出るだろうといわれています。この地域では低気温と同時に降水量も多かったため、一部では洪水が起き、農業被害は非常に深刻です。
南米の農業大国であるアルゼンチンでも、水深40センチに達するほどの、ひどい洪水が起き、ここでもトウモロコシや大豆に甚大な被害が出ています。
中南米に位置するメキシコでは、逆に雨が降らずに干ばつが起こっていて、これまた深刻な農業被害が起こっています。
本来は農業輸出国であったはずのオーストラリアでも、116年ぶりともいわれる大規模な干ばつによる被害が出ていて、穀物の輸入を余儀なくされているということです。
ヨーロッパに目を転じると、世界第3位のトウモロコシ輸出国であるフランスでは寒波が続き、種まきの時期にもかかわらず種がまけないため、大きな被害が出ることは必至のようですし、イタリアではほぼ全土に及ぶ地域で雹が降ったり洪水が発生したため、スイカ、ブドウ、モモ、アンズ、サクランボなどの果物が壊滅的な被害を受けています。ほかにも、トルコ、ギリシャなど地中海に面する国々でも同様の被害が起きているようで、その被害総額は想像を絶するものになる可能性があります。