10月21日に国土交通省・観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2015年7-9月期の訪日外国人の旅行消費額は、四半期として初めて1兆円を突破。1兆9億円と前年同期(5505億円)に比べ81.8%の大幅増となった。訪日外国人数は535万人で53.7%増だった。1-9月の消費額は推計で2兆5967億円となり、過去最高だった14年通年の2兆278億円を上回った。
中国人観光客の「爆買い」に代表されるインバウンド消費は、確実に日本の経済に恩恵をもたらしている。7-9月期のGDPは2四半期連続でマイナス成長となったが、国際収支統計で見る限り9月の経常収支は1兆4684億円の黒字で15カ月連続の黒字となっている。
「輸出入はともに弱い展開ですが、海外配当金や債券利子などの第1次所得収支が堅調でした。見逃せないのがサービス収支です。9月は訪日外国人旅行者数が161万人強と、9月として過去最高を記録し、インバウンド消費が大幅に伸びました。その結果、サービス収支は前年同月比で1555億円以上も増え、経常黒字に貢献しています。まさに爆買い効果です」(経済ジャーナリスト)
個人消費は0.5%増とパッとせず、企業の設備投資意欲も冷え込んだまま。中国経済の陰りやパリの同時テロで欧州経済に不透明感が出ており、輸出も期待できない。そんななかで、増え続けるインバウンド消費が頼みの綱となっている。
インバウンド消費の内実は、どうなっているのか。「訪日外国人消費動向調査」の報告書を見ると、面白いデータが満載だ。
インバウンド消費の内訳
まず、訪日外国人1人当たりの旅行支出は18万7165円。
国籍・地域別の消費額は、(1)中国4660億円、(2)台湾1389億円、(3)香港800億円、(4)韓国799億円、(5)米国452億円と続く。アジアの4カ国・地域で全体の4分の3以上を占めている。1人当たりの消費額でみると、中国が28万円強で断トツ。次いでオーストラリア21万3000円、香港19万2500円、米国18万円、タイ16万3900円となっている。総額で2位の台湾のそれは14万2000円、4位の韓国は7万7000円と個人の消費額は、いたって控えめだ。
訪日外国人たちはどこで何を買っているのか。
【購入場所】(観光客と業務客のトータル、複数回答)
(1)コンビニエンスストア 63.6%
(2)空港の免税店 63.0%
(3)百貨店・デパート 61.7%
(4)ドラッグストア 59.8%
(5)スーパーマーケット 53.6%
以下、家電量販店(31.1%)、観光地の土産店(29.1%)、アウトレットモール(22.2%)となっている。なんとコンビニがトップに躍り出ているのだ。