24日投開票の香港区議会(地方議会、18区で直接投票枠452議席)選挙で、民主派は全体の8割超を押さえ、選挙前の約3割から大きく躍進した。これは強硬路線をとる中国の習近平国家主席や香港特別行政区トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)長官、また学生らに銃口を向け実弾を発射するなどの無慈悲な攻撃を繰り返してきた香港警察にも「ノー」を突きつけたかたちだ。
地元メディア「香港01」によると、議席数(日本時間25日正午時点)は民主派が385、親中派58、その他が8議席。全18の区議会のうち大半で、民主派が過半数以上の議席を獲得し、民主派が区議会選で過半数以上を獲得するのは1997年の中国返還後初めて。まさに民主派が地滑り的な勝利となった。投票率も47%から71.2%と急上昇し、投票者数は約294万人と前回から倍増するなど、中国返還以来の直接選挙で過去最高を記録した。
これは、「逃亡犯引き渡し条例」に反対する6月からの大規模デモ開始後、初めての主要選挙となり有権者の関心が高まったためだが、直接的な理由としては、選挙直前の香港中文大学や香港理工大学への警察による一斉攻撃が挙げられる。
香港警察機動隊は11月12日夜、中文大に侵入し2356発の催涙弾とゴム弾を学生たちに向けて発射、少なくとも100人が負傷した。すさまじい量の催涙弾でキャンパスにいた学生らは戸外にあぶり出されて、待ち構えていた機動部隊の餌食になり、街頭は阿鼻叫喚に包まれたのだ。
理工大でも同様の惨状が繰り返され、17日夜から学生らデモ参加者と警官隊が激しく衝突し、デモ参加者らが投げた火炎瓶で火の手が上がり、一部のデモ参加者はキャンパスを出ようとしたが、警官隊の催涙ガスで押し戻された。理工大とその周辺では18日だけで約1400発の催涙弾が発射された。6月の大規模デモ開始以来、警官隊が発射した催涙弾は1万2500発にも上る。
学生らが警官隊によって追い詰められ、次々となぎ倒されて逮捕されるという地獄絵が展開されるに至って、香港市民の大半は中国政府や香港の指導部、警察のやり方に疑問を持ち、今回の選挙で民主派に一票を投じるという行動に出たことは容易に想像できる。