クリスマスといえばイルミネーション。クリスマスシーズン真っ盛りの今、夜ともなれば、各地で多くの人がロマンチックな気分を楽しんでいることだろう。
東京のJR山手線大崎駅からほど近い、品川区立五反田ふれあい水辺広場と近隣の目黒川の沿道では、周辺エリアから回収した使用済み廃食油を利用して、エネルギーを100%「地産地消」したイルミネーション「目黒川みんなのイルミネーション2015」を25日まで開催している。点灯時間は17時から22時。
11年の東日本大震災後の節電志向や環境面への配慮から、ともすれば批判を受けがちなイルミネーションに新たな道を開く可能性を秘めている点で全国的にも注目されている。
取り組みのポイントには、以下のような点が上げられる。
(1)100%自家発電のエコなイルミネーションであること。
(2)燃料であるバイオディーゼルは、地域の民家や飲食店の廃食油を利用する完全な「地産地消」のエネルギーをもとにしたイルミネーションであること。昨年は近隣から集めた約2900リットルの廃食油を活用した。
(3)東日本大震災から5年を迎えようとするなかで、通常の電力を使わないスタイルを貫いている。
目黒川イルミは開始から6年目を迎えている。2010年冬が1年目だったが、このときは通常の電力を使っていた。その後、11年に東日本大震災が起こり、イルミが軒並み中止や縮小に追い込まれたなかで、一般の電力を消費しない方法で地域の人に明るいニュースを届けたいという思いから、バイオディーゼルに完全移行することになった。
震災からもうすぐ5年となり、当時の電力不足の記憶も風化しかねない雰囲気のなか、冬の楽しみであるイルミを環境とうまく共存する方法で継続していることは特筆すべき取り組みで、まさに「次世代イルミ」のあり方を示しているといえる。
このイルミのコンセプトは、春には目黒川沿いを飾る満開の桜をイメージした“冬の桜”。桜の木にピンクの装飾を施したのが特徴だ。今年は21万3200球のLEDを使用。近隣住民が楽しみにする冬の風物詩として、すっかり定着している。
(文=編集部)