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マイナス金利反対派は、銀行の利益代弁者と金融政策への理解が不十分な人たちである

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
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マイナス金利反対派は、銀行の利益代弁者と金融政策への理解が不十分な人たちであるの画像1日本銀行(撮影=編集部)

 日本銀行は1月29日、マイナス金利を導入することを決めた。具体的には、日銀の当座預金を3段階に分け、それぞれの階層に0.1%、0%、▲0.1%を適用する。

 日銀が当座預金に付利したのは、2008年10月からの補完当座預金制度である。導入時は、補完貸付制度の金利がコールレート(金融機関同士の短期資金貸借市場における金利)の上限、当座預金の金利がコールレートの下限という意味があった。もっとも、当座預金の付利は「市場機能への配慮」と表現されており、銀行の収益確保という側面があった。

 その直後、FRB(米連邦準備制度)の事実上ゼロ金利を受けて、コールレートの誘導金利は0.1%まで下がった。その時点で、日銀当座預金への付利について、金融政策上の意味はなくなり、銀行への支援(お小遣い)だけになったと筆者は思った。しかも、導入時に「臨時かつ時限的な措置であること」とされていた。

 日銀当座預金への付利0.1%は、金融緩和効果を減殺してきたので、これまでも問題になっていた。日銀は黒田東彦日銀総裁の前任である白川方明総裁時代、国債買いオペの対象は中短期債であった。金融機関は低利の中短期債を日銀に売却して、その代わりに日銀当座預金で運用しているという状態だった。

 日銀による国債買いオペとは、そもそも日銀が金融機関から国債を取り上げて、その代わりに収益ゼロのキャッシュを与えて、金融機関はキャッシュのままでは収益が上がらないので、収益を稼げる貸出や株式への投資を促そうというものだ。そのためには、当座預金への付利が障害だった。

 マイナス金利の賛否については、銀行への支援(お小遣い)を重視する人は反対し、デフレ脱却のために金融緩和を重視する人は賛成する。

日銀政策決定会合での議論

 それがはっきり出たのが、1月28、29日の日銀金融政策決定会合における採決だった。賛成は、黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員。反対は、白井委員、石田委員、佐藤委員、木内委員。白井委員は学者出身であるが、石田委員、佐藤委員、木内委員は民間金融機関出身である。賛成に民間金融機関出身者はいない。賛成委員は黒田体制になってからの任命、反対委員は前の白川体制での任命である。会合における議論の内容が公表されたので、委員がどのような問題意識を持っているのかを解説しよう。

 まず、賛成委員の意見としては以下がある。

「『マイナス金利付き量的・質的金融緩和』は、イールドカーブの起点を引き下げ、大規模な長期国債買入れと合わせて、予想実質金利を一層引き下げる効果を発揮する」

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