18日早朝、相鉄線瀬谷駅(横浜市)で高校2年の女子生徒(17)が飛び込み自殺を図り死亡した事故で、この女子生徒が自らその様子をスマートフォンで撮影し、自身のTwitterアカウント上で公開していたことが世間に衝撃を与えている。駅ホームのベンチには、女子生徒のスマホのカメラが線路をとらえるかたちで置かれていたという。
動画には女子生徒が線路に飛び降りる瞬間も収められており、多数のリツイートによってインターネット上で拡散され、再生回数は数時間後には約50万以上にも上った。すでにTwitter運営元はルール違反に該当する投稿だと判断して動画を削除している。
女子生徒のツイートには<自殺配信>という書き込みもみられるが、動画を見たという映画業界関係者は「映画『自殺サークル』に出てくるあるシーンを思い出した」と語る。
『自殺サークル』は、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『新宿スワン』などで知られる“鬼才”園子温監督がメガホンをとり、2002年に公開され、海外でもDVD化された作品。当時社会問題となっていた集団自殺に切り込んだ問題作として知られている。
「『自殺サークル』では、54名の制服姿の女子高生が手をつないで新宿駅のホームに沿って一列に並び、腕を振って“いっせーのせ”という掛け声と共に電車が侵入してくる線路に飛び込むシーンがあります。ホームにいる大勢の人々の全身に大量の血しぶきが飛び散り、電車の窓は真っ赤に染まり、ホームじゅうが血の海になるというショッキングなシーンですが、それがコミカルな音楽ともにスクリーンに展開されるため、なんとも異様な気分になったのが忘れられません。
映画では自殺した女子高生たちは、その様子を動画で撮影したりはしていませんでしたが、今回の瀬谷駅での事件を受けて、何人かの業界の人と『なんか“自殺サークル”と似ている』という会話をしました。まさか映画の影響を受けて今回のような行動をとったとは考えたくないですが……」(同)
自殺した女子生徒の動機は不明だが、同映画との類似性を指摘する声は出ているようだ。
ちなみに「『自殺サークル』では、自殺した人と関わった人たちが次々と自殺していくという“自殺の伝染”がテーマとなっており、その意味で黒沢清監督の代表作『CURE』(1997年)につながる部分を感じる」(前出と別の映画業界関係者)とのことだが、今回のようなショッキングな出来事は、2度と起きてほしくないものだ。