「契約社員」という言葉には、どうしてもネガティブなイメージがつきまとう。解雇について厳しい制限がある「正社員」と異なり、いつクビを切られるかわからない不安定な立場と考えられがちだからだ。
「契約期限が来てしまえば、契約更新されず仕事を失うことになっても仕方ない」。そのように考えている人も多いのではないだろうか。しかし、「これは大きな誤解」と労働問題に詳しい佐藤宏和弁護士は語る。単に契約期限が到来したという理由だけで労働契約を終了することは違法となる可能性があるという。
「有期労働契約というのは、文字どおり期間の定めのある労働契約ですから、一定期間をあらかじめ定めて労働者を雇用するという契約です。例えば6カ月の期間を定めて労働契約を締結しておきながら、これを何回も更新することで実質的に無期労働契約の労働者と同様の業務に就かせることは、そもそも契約の趣旨に反しており法律上不適切な契約方法といえます」(佐藤弁護士)
つまり、契約社員は原則として1カ所においては、短期間の労働が前提になっており、同じ職場で継続して働くことは想定されていない。労働契約法17条2項を見ても、「使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」と書いてある。短い期間を定めておきながら、実際には何回も反復して契約を更新するのは、違法な扱いのようである。
では、どのような場合に契約期間満了による労働契約終了が違法になるのだろうか。
「やはり、すでに何回も反復して契約を更新しており、いつまで更新し続けるのかについて労働者に十分な情報提供をしていない場合は違法となる可能性が高いといえます。この場合、労働者から見て契約更新を期待することが合理的といえるからです。『有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある』(労働契約法第19条2号)と認められる可能性が高く、労働者が契約更新を申し込むと使用者は拒絶できなくなります」(同)
つまり、労働契約を終了することはできず、法律上、強制的に契約更新がされることになるのだ。これは一般的なイメージと異なり、簡単に「クビ切り」ができないことを意味する。