新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発出し、東京都など一部自治体は平日の外出自粛や特定の業種に対する営業自粛を要請。その影響は飲食・小売り・旅客・宿泊業に限らず幅広い業界に広がり、すでに倒産も続出する一方、国内の新型コロナウイルス感染者は8582例、死亡者は136名に上っている(16日現在)。
肺炎で先月死亡した志村けんさんの例をはじめ、芸能界でも次々とPCR検査で陽性が判明するタレントが出ているなか、俳優の石田純一さんが16日、自身が感染していることを公表した。
石田さんが自身の公式ブログ上で報告している内容や各種報道によれば、石田さんは今月10日、自身が沖縄で経営する冷麺店の売上が落ちていることを受けて沖縄に移動し、その日の夜に店舗で打ち合わせ。翌11日に仕事関係者とゴルフ中に体のだるさを感じたが、12日にも店舗で打ち合わせを行い、13日に東京へ帰京。14日に病院で受診したところ肺炎の症状が見られたため入院し、15日にはPCR検査で陽性反応が確認されたという。石田さんは沖縄滞在中の12日から13日にかけ、体のだるさが続いていたためホテルの部屋で休息を取っていたというが、産業医は語る。
「ネット上では石田さんの一連の行動に対して厳しい声も目立ちますが、ご本人が現在も重い症状のなかで闘病中であり、詳細に自身の行動を説明できる状態ではないでしょうから、具体的にどこでどのような行動を取っていたのかまでは誰も把握できない状況です。そもそも沖縄で感染したのかどうか、何が原因なのか感染ルートもわからないなか、現時点で石田さんを批判すべきではないと思います。
その前提で、あくまで石田さんが公表している概況のみをもとに考えてみると、まず、すでに政府は緊急事態宣言において、対象となる都道府県(東京都も対象)の住民に対して外出自粛や県外への移動を極力避けることを要請しています。対象の都道府県は感染者が多く、自覚症状が出ていない人が他県に移動することで他県にまで感染が拡大する可能性があるためですが、まず、政府がそうした要請を行っているなかで石田さんが沖縄に行ったという行動が適切だったのかという疑問はあるでしょう。
そして店舗での打ち合わせが、どのようなかたちで行われたのかは定かではありませんが、テレビ会議などを利用するという選択肢はなかったのか、という指摘も出てくるでしょう。
ゴルフでも“三密”の恐れ
ゴルフについては、屋外でプレイヤーたちが一定の距離を保って行われるため、“三密”の恐れないように思えるかもしれませんが、プレーに集中して感情が高揚すれば、無意識のうちに一緒にプレイする人々と近距離で会話を交わす場面も出てくるかもしれません。加えて、ロッカールームでの着替え、休憩時のレストランの食事と談笑、プレイ後の入浴やシャワー、その際の脱衣場での着替え、トイレの利用、ゴルフ場への行き帰りの車の利用など、“三密”が想定される機会は数えきれないほどあります。
さらに、沖縄からの帰路では飛行機を利用しているでしょうから、ここにも感染のリスクはあります。体の不調を感じていたのなら、まず沖縄の病院で受診すべきだったのではないか、という考え方もできます。
こうしたことを考えると、一連の行動には感染拡大のリスクが潜んでいたといえるのではないでしょうか。もっとも、当然ながら石田さんも、マスクの着用や同席者との距離の維持、打ち合わせ場所の換気など、細心の注意を払っていたと推察され、ご本人自身が感染して現在は闘病中ということもあり、石田さんを責めるべきではありませんし、批判は不適切です。今回のケースを受け、私たちがこれまで以上にリスクを認識して、感染を避ける行動を心掛けるべきだと考えます」
石田さんの一日も早い回復を願いたい。
(文=編集部)