8月5日に開催するリオデジャネイロオリンピックが、危険な香りに包まれ始めている。
ブラジル・リオデジャネイロで7月27日、オーストラリアのテレビ局取材班が強盗未遂の被害に遭ったことが明らかとなった。オリンピック取材のためリオデジャネイロに入り、有名なビーチで取材を行おうとしたところ、集団に取り囲まれたという。だが、危険に備えて英特殊部隊出身のセキュリティーガードを雇っていたため、難を逃れた。
実は、このような事態は以前から想定されていた。ブラジルは、ほぼ全土にわたって治安が悪く、昼間でも各地で強盗が多発している。長引く政情不安や経済の低迷が大きな原因で、数年前までは「スラム街には近づくな」といわれていたが、今ではスラム街以外でも危険な状況になっている。さらに、ジカ熱が多発していることから、オリンピック参加を取りやめる国も続出している。
24日には、警察官によってニュージーランド人の柔術家が拉致される事件が起きた。その柔術家は、ATM(現金自動預け払い機)からお金を下ろして渡したところ、解放されたという。
ブラジル経済は、警察官に給料が支給されないほど悪化しており、治安を守るべき警察官による犯罪まで起きているのだ。今やブラジルは、昼間であっても安全ではない。高価な腕時計をしていると、腕ごと切り落とされて強奪される事件も珍しくない。現地警察は、オリンピック選手、関係者、観光客に対して、極力外出しないよう呼びかけている。
日本の外務省もホームページで、外国人旅行者を狙った置き引き、ひったくり、強盗等が頻発しているとして注意を呼びかけている。特にスラム街では、麻薬密売組織間の抗争に治安当局が介入した銃撃戦が昼夜を問わず発生しているという驚愕の事実も伝えている。
空港や路線バス内でも強盗事件が多発している。飛行機を降りたら、すぐにタクシーで移動するなど、努めて身の回りに気を配らなければならない。
ブラジルのスーパースターも「ブラジルに来るな」
こんな状況に、元サッカーブラジル代表選手のリバウド・ヴィトール・ボルバ・フェレイラ氏は、「ブラジル観光やリオオリンピック観戦に訪れようとしている人に、自らの国に留まることを勧めたい。命を危険にさらすことになる。言うまでもなく、病院や警察も混乱している」と述べている。