消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
貿易赤字ということは、輸出より輸入が多いということである。輸出品の価格が下がるより、輸入品の価格が上がるほうが大きい。輸入品は消費者に直結する製品が多い。生活者を直撃することになる。円安で輸出が拡大すれば、下請け企業も含め国内生産は伸びるといわれているが、果たしてそうなるだろうか?
前述したように、世界の貿易は輸出入から現地生産にシフトしたため、円安になればどんどん輸出が増えるわけではない。海外市場での競争条件は良くなり、収益は膨らむが、量がどんどん増える、とはならない構造なのだ。その一方、国内の生活物資の値段は上がる。
一部の企業には恩恵があるだろうが、生活者には厳しい経済環境になる。円安は、浮かれる話ではない。
(文=山田厚史/ジャーナリスト 元朝日新聞編集委員)
●山田厚史(やまだ・あつし)
1971年朝日新聞社入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界などを担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。特別編集委員(経済担当)として、大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送テレビ番組で、コメンテーターなども務める。
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