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六代目山口組、「三つ巴」だった尼崎をいよいよ制圧か…全国で緩まぬ神戸山口組への攻撃

文=山口組問題特別取材班
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一時は“3つの山口組”が存在した尼崎

 2015年に六代目山口組が分裂し、神戸山口組が発足され、そこから割って出た任侠山口組(現・絆會)が結成された際、兵庫県尼崎市には一時“3つの山口組”の勢力が均衡する事態となっていた。それが月日の経過とともに六代目山口組勢力が圧倒し、ついには制圧する一歩手前にまで辿りついた。

 その急先鋒となったのが、六代目山口組・司忍組長を創設者とする三代目司興業と、三代目弘道会傘下である野内組系権太会といえるだろう。権太会は、4次団体でありながらもその影響力はプラチナ(直参=二次団体)級といわれ、ここのところ爆発的な勢いで勢力を拡大させているといわれている。

 「権太会の平野権太会長は、もともと尼崎市に本部のあった六代目山口組の二次団体・二代目大平組の出身で、それだけに尼崎の制圧に尽力してきたと見られている。実際に、絆會内の古川組勢力は、現在はそのほとんどが権太会へと加入し、二代目大平組の流れを汲む大興會も権太会へと参画。そうした影響で、尼崎市内に残った六代目山口組系以外の勢力は、いまや神戸山口組の三代目古川組だけになっていた」(地元関係者)

 いわば神戸山口組にとっては、尼崎という重要拠点の最後の砦ともいえる組織が三代目古川組だったわけだ。しかし、その組織を率いた三代目古川組・仲村石松組長と舎弟頭である最高幹部が、11月3日、尼崎市内で何者かに発砲され、重傷を負ったのだ【参考記事「六代目山口組による『血の圧力』」】。

 「これまでも、六代目山口組サイドから攻撃を受けた神戸山口組系組織の幹部は数多くおり、その後、その関連組織は神戸山口組を離脱したり、六代目山口組サイドへ復帰したりするケースが立て続けに起きている。8月に幹部が銃撃された二代目木村會もそうだし、5月に若頭が発砲された池田組も、六代目山口組にこそ戻らなかったものの、神戸山口組を離脱している。今回の発砲もそうした意味合いが込められた、六代目山口組サイドからの警告との見方ができるのではないか」(捜査関係者)

 そんな中で注目されるのは、神戸山口組の今後の動向だろう。神戸山口組では、この1年を見ても、熊本、北海道、兵庫、大阪、未遂に終わった京都、さらに今回の尼崎と、何人もの直参組長が襲撃を受けている。にもかかわらず、目に見えた報復を今のところ起こしていない。

 「そこに、神戸山口組の現在の苦況が見てとれるのではないでしょうか。六代目山口組分裂当初、ヤクザに対する取り締まりの強化と厳罰化が進んだ中では、本格的な抗争事件は起きないと誰しもが予測しました。しかし実際は違った。六代目サイドは時間をかけようが、この5年間、武力を行使し続けた。特に昨年10月に髙山清司若頭が社会復帰してきてからは、組織活動がしづらくなる特定抗争指定暴力団に指定されても、手を緩めず、神戸山口組を攻撃し続けた。そうした強気の姿勢は否が応でも、それぞれの組員に伝播します。六代目サイドは士気を高めますし、神戸サイドは危機感を募らせます。結果、神戸山口組では、引退を選んだ幹部も出たほどです。今回の発砲事件も神戸山口組にとっては、相当なプレッシャーとして、組織全体にのしかかってくるのではないでしょうか」(ジャーナリスト)

 どれだけ厳罰化が進んでも、ヤクザ社会においては「暴力こそが真髄」ということだろう。六代目山口組が圧倒的有利といわれる中、山口組分裂騒動は小康状態が続いていくのではないかと見られていた中での今回の発砲事件。やはり事件は六代目サイドによるものなのか。当局による捜査が現在も進められている。
(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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