米国が朝鮮半島海域に米原子力潜水艦「ミシガン」や原子力空母「カール・ビンソン」率いる空母打撃群を派遣するなど、朝鮮半島では一触即発の緊張感が高まっているなか、北朝鮮は29日早朝、内陸部の平安南道・北倉一帯から弾道ミサイル1発を発射したが、発射数分後に空中で爆破し、失敗した。
今年3月以降、これで北朝鮮のミサイル発射実験は4回連続して失敗となった。あまりにも高い失敗率だが、これは中国が米国に協力して、米軍による対北サイバー攻撃を支援したからだとの見方が急浮上している。米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じている。
中国人民解放軍は朝鮮戦争の際、朝鮮人民軍と合同で米韓両軍を中心とする国連軍を敵に回して戦い、「血で固めた友誼」と呼ばれるほどの深い関係を築いた。このため、今では最高指導部間の交流が途絶えているなかでも、両軍の協力関係は水面下で続いているといわれるほどだ。
その象徴が、中国軍による北朝鮮のサイバー攻撃部隊への支援だ。北朝鮮サイバー軍の主力は朝鮮人民軍偵察総局所属で、総括センターは参謀部所属とされるが、その実行部隊は、実は中国東北部の遼寧省瀋陽市の七宝山ホテルを拠点としていることは知る人ぞ知る話だ。
サイバー部隊の創設は、2月にマレーシアで殺害された金正男氏が深くかかわっていたとされる。正男氏は2009年、軍のコンピューター委員会のトップを務めており、父の金正日朝鮮労働党総書記からサイバー攻撃部隊の結成を命令され、親しい中国軍幹部に協力を要請し、コンピューターの手配から部隊要員の教育まで面倒を見てもらったとされる。
北朝鮮の要員は中国の武漢市にある解放軍直属の大学に派遣され、コンピューター教育を一から学んだともいわれている。当時は北朝鮮国内には、まともなコンピューター施設もなかったことから、瀋陽市のホテルをサイバー攻撃実行部隊の拠点としたというほどだ。その後、北朝鮮国内にも専門の大学ができ、1万人いるとされる攻撃部隊の大半は北朝鮮国内で作戦を展開している。