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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

北朝鮮のミサイル発射失敗、米国がサイバー攻撃で妨害成功か…中国が協力も

文=相馬勝/ジャーナリスト

中朝関係の冷却化

 しかし、中国軍は朝鮮人民軍のコンピューター施設などはほとんどすべてを把握しているほか、ミサイルのシステムなどの軍の情報にも精通している。

 中国共産党指導部は中国と親密な関係を維持してきた金正日指導部が存続している間は、対北問題については、米政権とは一線を画してきたが、11年の金正恩指導部の発足後、中朝関係は急速に冷却化しており、両軍の関係にも隙間風が吹き始めてきた。

 そのようななか、米軍のサイバー攻撃部隊は敵のコンピューターシステムにウイルスを侵入させ、機能不全にする能力を飛躍的に向上させてきており、「アメリカと北朝鮮の間では約3年前から、サイバー空間で知られざる戦闘が繰り広げられている」とニューヨーク・タイムズは報じている。

 さらに、トランプ米政権が今年2月に発足したことから、中国の習近平指導部は急速に対北問題で米側に歩み寄っているのは周知の事実。しかも、トランプ大統領は「中国はよくやっている」とか「習近平主席と良い関係を築いた。信頼している」などと習近平との信頼関係を強調。

 そうしたなかで北朝鮮のミサイル発射実験が連続4回も失敗しているとあって、これを偶然とみる専門家が少ないのも当然といえば当然の話といえまいか。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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