消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
わかりやすい敵をつくって攻撃する手法は、他の政治家も用いている。アメリカのトランプ大統領は、「メキシコからの不法移民」「アメリカをテロ攻撃するイスラム国」「嘘ばかりつくメディア」などを、敵と名指しして罵倒した。橋下徹元大阪市長も、公務員や教師という敵をつくり、それに立ち向かう「改革者」として自分自身を演出した。
3つのメリット
こうして敵をつくると、少なくとも3つのメリットがある。まず、うまくいかなくても、自分のせいではなく、「抵抗勢力」をはじめとする敵のせいなのだと言い訳できる。また、どんな集団でも、共通の敵に立ち向かうことで一体感が生まれ、団結できる。さらに、公開の場で敵を叩きのめすことによって、大衆が復讐願望を満たし、カタルシスを得られるので、ガス抜きになる。
だからこそ、これは非常に巧妙な手法であり、ドイツの政治学者、カール・シュミットが政治の本質を「友と敵」という関係でとらえたのは、当然かもしれない。実際、大衆の支持を集めることに成功した政治家の多くは、わかりやすい敵をつくって攻撃する手法を用いている。シュミットは「ナチスの御用理論家」として有名だが、ナチスが敵として攻撃したのはユダヤ人だった。
歯切れのいい「小池節」を鳴らすためには、敵をつくって攻撃することが不可欠だろう。これから小池知事が誰を敵とみなして攻撃するのか、興味津々である。
(文=片田珠美/精神科医)
【参考文献】
カール・シュミット『政治的なものの概念』田中浩・原田武雄訳、未來社
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.10.22 06:00
2024.10.05 06:00
2024.10.04 18:50
2024.10.02 06:00