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荻原博子「家庭のお金のホントとウソ」

「老後の貯蓄3000万円ないと破綻」のまやかし…投資に走って資産を失う人の共通点

文=荻原博子/経済ジャーナリスト
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 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」はアンケートであり、多くの人がこのように「予想」しているということです。また、総務省の家計調査は平均値です。そのため、あなたの生活とはズレているところが多々あるはずです。総務省の家計調査の「高齢夫婦無職世帯の家計収支 2016年月平均額(円)」では、費用の内訳が以下のようになっています。

「老後の貯蓄3000万円ないと破綻」のまやかし…投資に走って資産を失う人の共通点の画像3総務省「家計調査報告(家計収支編)平成28年(2016年)」より

 たとえば、食費が高齢者2人で月約6万5000円になっています。今、4人家族でも月の食費は4万円程度という家庭が多いなか、かなり多い気がします。また、住宅費については、住宅ローンの支払いが終わっていれば、マンションの場合は管理費や修繕積立金などがかかるかもしれませんが、一戸建ての場合はほとんどお金がかかりません。もちろん、固定資産税はありますが、地方では微々たる金額でしょう。そのため、実際には月約1万5000円を下回るという人も多いのではないでしょうか。

 交通費・通信費についても、毎日通勤するわけでもない上、携帯電話を格安スマホにしていれば、月約2万5000円もかからないという人が多いでしょう。

 しかし、金融機関の窓口で老後の資金について相談すると、このような詳細は見せられずに、いきなり前述の図を見せられて「月5万4711円不足します」と言われてしまいます。実際には家計の事情はそれぞれ違うわけですから、まずは自分の場合は老後にどのくらいのお金がかかるのか、現在の家計を基に計算してみるべきです。

金融機関のカモになってしまう人の特徴とは?

 老後に必要な資金を知るためには、自分の今の生活をベースに考える必要があります。そして、計算して出てきた数字がかなり多い場合は、それをどうやって削っていくのかを考えましょう。

 ベストは、老後の生活水準を年金支給額まで下げることです。どうすれば支給される年金の範囲内で暮らしていけるのかを考えましょう。特に「定年退職が近いのに貯金があまりない」という人は、「月○○万円足りない」と思うと、老後の生命線になる虎の子の退職金で「一勝負」という気持ちになりかねません。その結果、金融機関が勧める投資に走ってしまうことになるのです。

 もちろん、投資で大きく儲けることができればいいのですが、損をしている人のほうが多いのが実情です。そして、老後資金はいったん目減りさせてしまうと、働いて稼ぐといっても年齢的に限界があるため、なかなか元に戻すことができません。

荻原博子/経済ジャーナリスト

荻原博子/経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。

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