神奈川県座間市のアパートにあるクーラーボックスから、少なくとも9人の遺体が見つかった、前代未聞の猟奇的殺人事件。行方がわからなくなっていた東京都八王子市の女性の実兄による通報から、警視庁高尾警察署が動いたことで、先月30日に白石隆浩容疑者が逮捕された。
その後、白石容疑者は「取り調べに素直に応じている」(捜査関係者)ということで、今後、さまざまな事実が発覚するのは間違いない。ここでは、原稿執筆時の11月1日現在、まだ報道されていない、表には流れていない情報を含めて書き記しておきたい。
事件は、先に記した被害者女性の実兄がSNS(ツイッター)で投稿したことにより、明らかになった。10月26日、実兄が残したのは、こんなつぶやきであった。
「このアカウントを作成した者の兄です。
10月23日を最後にアカウント主、つまり私の妹と連絡がつかなくなりました。
それまでは毎日のようにLINEで連絡をとっていました。
しかし23日の朝9時を最後に反応がなくなりました」
その後、立て続けにつぶやきを投稿した結果、容疑者を知っているという女性とコンタクトをとることに成功。彼女の協力を得て、高尾警察署署員が白石容疑者のアパートを突き止めて逮捕に至ったのは、報道された通りだ。
女性を金を得る手段としてきた過去
筆者が関心を持ったのは、この白石容疑者が「裏社会と接点を持っていたのかどうか」という点であった。
白石容疑者が今回逮捕される前、歌舞伎町などでスカウト行為により収入を得ていたのは、報道にある通りである。さらに白石容疑者は組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の疑いで、東京都新宿区西新宿の職業紹介会社「EXCELLENT」の経営者とともに逮捕されていた。逮捕容疑は、2人で共謀して、同社の業務として昨年6月から同8月までの間、神栖市深芝のデリヘルに女性を斡旋。売春の周旋で得た現金であることを知りながら、同店への女性従業員紹介の料金名目で、現金書留で3回にわたって送られた計383万1000円を偽名を使って受け取り、犯罪による収益を隠匿した疑いである。