一般的な公立学校は指定の通学区域に住む児童たちが通うことになるが、商業区域の銀座5丁目に所在する同小学校は、住んでいる子供が少ないなどの事情から、中央区内全般からの通学を認めている「特認校」なのである。
富裕層が多い銀座エリアの学区内に住む児童だけが入学する公立小であったとしても、最大8万円以上という金額には賛否両論巻き起こりそうだが、前述した通り、同小学校は銀座エリア以外の中央区の児童であれば通うことができるということも、議論のポイントなのだろう。
「今回、学校側が保護者の方々に対して、どのような説明をどれくらいの頻度でしていたのかは把握しておりません。ですが一般論としては、(公立校で各家庭に高額負担をしいる可能性があるのであれば)決定してから公にするのではなく、保護者の方々とご相談しながら決めていくのが望ましいかと考えます」(同)
今回のアルマーニ標準服の導入は、同校の和田利次校長のほぼ独断で決定されたと伝えられている。公立校で着用する服装の決め方に明確な規定があるわけではないが、教員、生徒、保護者といった学校関係者から多く意見を募り、協議を重ね、導入を検討・決定していくのが一般的だということを踏まえると、泰明小学校の異質性が際立ってくる。
アルマーニ服で裕福な家庭、従順な家庭を選別している?
教育関連の著書を多く持つ教育評論家の武田さち子氏は、今回の一件の第一印象として「公立小学校でアルマーニというのに非常に驚きました」としつつ、次のような問題点を挙げる。
「当たり前のことですが、公立学校の場合、学校側は生徒を選べないものです。ただし、この高額な標準服が、“選別する機能”を持ってしまう可能性は否定できません。高額な標準服を買える経済的余裕のある家庭の児童を選別する、校長の方針に文句を言わず従う家庭の児童を選別する、ということができてしまうのです。ある種、“踏み絵”としての標準服ともいえるかもしれません」(武田氏)
一部報道では、今春に入学予定の新1年生の保護者の大半は賛同していると伝えられている。しかし、武田氏の言うように、“踏み絵”として機能しているのであれば、選別済の保護者がみな賛同しているというのは当然といえば当然だ。
「そもそも、『なぜ高級ブランドの服でなくてはいけないのか』という疑問に対しての、学校側からの説明不足、説得力不足を強く感じます。
アルマーニの標準服を導入するきっかけについて、報道によると同校は、『きちんとした心構えと志で学ぶのが泰明らしさ。その意識を持たない方が増えてきた』ことを挙げ、『泰明らしさを取り戻すひとつのスイッチ』にする意図があると伝えられています。