東京・銀座という一等地に建つ東京都中央区立泰明小学校。今春、入学する新1年生から、イタリアの高級ファッションブランド「アルマーニ」製の“標準服”に切り替わると発表され物議を醸している。
標準服という言葉を聞き慣れない方も多いだろうが、制服と違い、着用が義務付けられているわけではなく、“学校での着用が望ましいとされている服装”のことだという。ただ、経済的な事情で購入することができない児童に対して、いじめの原因になるのではといった懸念もあり、“半強制的”に買わざるを得ないことが予想される。
現在、同小学校で採用されている標準服は、一式揃えても2万円未満とされているが、アルマーニの新標準服は、一式揃えると最大8万円を超えるとのこと。高校生であれば最初に買った制服を3年間着続けることもできるだろうが、身体的成長が著しい時期の6年間をすごす小学生の標準服となれば、何度か買い替える必要もあるかもしれない。保護者の経済的負担増は容易に想像できる。
この泰明小学校の問題について、菅義偉官房長官は「保護者の負担が過剰にならないように、留意していただくということは常識だというふうに思います」「保護者のみなさんが納得されたうえで進めていくことが必要なのではないか」と指摘する異例の事態に発展している。麻生太郎副総理兼財務相も「高すぎる」といった趣旨の苦言を呈している。また、同問題はイギリスの公共放送・BBCでも取り上げられるなど、騒動の余波は海外にまで広がっているのだ。
私立小学校の制服であれば問題化することはなかったと思われる。ポイントは貧富の差に関係なく学べることが前提とされており、普通教育を税金で実施している公立小学校で導入されるという点だろう。
文部科学省は「もっと保護者と相談すべきだった」と見解
同問題に対し、中央区教育委員会などには2月13日時点で450件以上の意見が寄せられており、「買えない家庭はどうするのか」「公立小で高級ブランドの標準服はおかしい」といった批判的内容が多いという。
では、この泰明小学校のアルマーニ問題を文部科学省はどうとらえているのだろうか。
「泰明小学校の場合、区内全般の児童の入学を許可している『特認校』ですので、区内に住んでいるのであれば通うことができます。しかし、標準服の値段がネックとなり、当初希望していても、入学を断念されるご家庭も出てくるかもしれません」(文部科学省児童生徒課)