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山口組と別の道を歩む「結成4年の絆會」…池田組との関係強化、拠点移動の情報も

文=山口組問題特別取材班
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絆會を率いる織田会長

 衝撃は4年前の4月30日に起きた。六代目山口組から割って出た神戸山口組のキーマンとして脚光を浴び続けていた織田絆誠会長が同団体から割って出て、新たな組織として任俠団体山口組(現・絆會)を結成。神戸山口組が大きく揺れることになったのだった。

「山口組分裂後、当初イニシアチブを握ったのは、勢いに乗った神戸山口組だったといえるだろう。その神戸山口組が最初にかげりを見せた瞬間は織田会長らが離脱したときだ。神戸山口組の先頭に立ち、組織を牽引していたリーダーの一人が離脱したのだから当然だ」(某組織幹部)

 承知の通り、その後今日まで、神戸山口組からは多くの組織や組員が離脱することになり、ついには神戸山口組の中核組織、五代目山健組までもが神戸山口組と袂を分かつことになっていくのだった。

 一方で、「山口組の改革」や「脱反社」などの崇高な理念を掲げて結成された任俠団体山口組もまた、最終的には絆會となり、組織名から山口組の名称を外し、菱の代紋を下ろすなど、組織的衰退を余儀なくさせられることとなった。

「絆會には、牙城とまでいわれた地域があった。それが信州・長野県だ。分裂直後、どれだけ六代目山口組系列の武闘派組織が攻め込んでも、長野県だけは堕ちなかったのだ。当時、同地の勢力を率いたのが、織田会長の右腕ともいわれる存在の金澤成樹若頭だった。だが、その金澤若頭も現在では指名手配され、戦線離脱を余儀なくされている」(地元関係者)

 昨年9月に金澤若頭が起こした事件こそ、絆會の牙城が陥落した瞬間といえるだろう。長野県内の配下組員らが絆會から六代目山口組系組織へと移籍する中、それをよしとしない金澤若頭が移籍を決意した組長に発砲し、重傷を負わせたのだ。その後、金澤若頭は逃亡生活を送っており、絆會はナンバー2を失う事態に陥っている。

 当局の発表でも、長野県での絆會の勢力は、30組織160人から2組織30人に縮小したと発表されている。そうした中で、最近は大きな動きを見せていないようにも思える絆會だが、まったく動きがないかというと、そうではないという見方もある。

 「絆會は、同じく神戸山口組を離脱した岡山県を拠点とする池田組と親睦を深めており、最近も岡山県の倉敷市で食事会を開催させたとのことです。池田組は現在も当局からは、神戸山口組系組織として認識されているため、この食事会には参加者を5人以内に留めたようです。それは神戸山口組が特定抗争指定暴力団に指定されており、警戒区域内で5人以上集まれば、取り締まりの対象になるためだと思われます。一方、この指定を受けていない絆會の組員は結構な人数が倉敷市に集まっていたことが確認されていたと見られています。そのため、絆會が倉敷市に主たる勢力を移すのではないかと、一時騒然となったようです」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 長野という絆會の牙城ともいわれた地域の組織力が激少した現在、池田組とのさらなる関係性を強化した上で、拠点を倉敷市に移すのではないかというのだ。

 「この池田組や絆會に限らず、五代目山健組もそうだが、かつて六代目山口組から割って出た勢力で今後も独立してやっていこうという組織は、意欲的に組織を拡大していくのは難しいのではないか。それゆえ、そうした組織同士の連携が重要になってくるともいえる。一方、六代目山口組サイドは現在、そうした組織には目もくれず、神戸山口組の壊滅だけを考えていると見られているが、そこが解消されれば、六代目サイドが新たな動きをとることも十分に考えられる」(捜査関係者)

 絆會は結成当初から、比較的柔軟に組織の運営方針を変えつつ、状況に順応しようとしてきたといえるだろう。“脱反社”と堂々と宣言してみせたり、執行部がピラミッドの頂点に立ち強権を発する旧来型の縦型組織を排したり、さらに山口組という大看板をあっさり下ろしたのも、柔軟性の表れと取れなくもない。そして、結成から5年目に突入した今後もそこは変わらず、ヤクザ社会を取り囲み状況がさらに厳しくなる中で、さまざまな変化を取り入れた運営を行っていくことが予想される。

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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