【森友文書書き換え】財務省職員から「さっさと謝れよ」「昭恵夫人は疫病神」と不満も
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
3月2日、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり、「財務省が契約当時の決裁文書を書き換えか」と朝日新聞がスクープしました。この一報を受けて、永田町は「朝日新聞社が社運をかけて安倍首相に“砲弾”をぶち込んだ!」とざわつきました。日頃から、安倍晋三首相は朝日新聞を名指しで批判しているため、そうとらえられたのだと思います。
しかし、一方で「事実確認はできるの?」と疑問に思ったのも事実です。なぜなら、決裁を受けた契約書は財務省近畿財務局にあったはずで、それらの書類はすでに大阪地方検察庁が押収しているからです。
それにもかかわらず、5日の夕方、財務省の富山一成理財局次長は野党6党の国会対策委員長に対して「原本は近畿財務局にある」と説明してしまいました。立憲民主党の辻元清美国対委員長あたりは、心の中で「よっしゃー」と叫んだはずです。原本を確認できない状況だということはわかっていたはずですから。そして、やはり「原本はない」という話になったときには、ものすごい形相で批判していましたが、ほかの国対委員長たちからは「辻元さんは目立ちたいだけでしょ」と冷ややかな目を向けられていたようです。
6日の朝、参議院予算委員会理事会で財務省は「一連の文書は大阪地検に提出しており手元にはない」と説明して紛糾しました。参議院の立憲民主党議員は6人なので理事は選任されず、オブザーバーという立場になります。その日の理事会には蓮舫議員がオブザーバーとして出席しましたが、官僚を追及するやり方があまりに感情的でどうしようもなかったそうです。
もはや人格攻撃ともいえる、蓮舫議員のお決まりのパフォーマンスですが、説明のために理事会に呼ばれた官僚をいくら怒鳴ったところで進展がないことは明らかです。唯一、野党会派で理事を選任している民進党の議員が「ほかの言い方ができないものかね。同調しづらいよ」とため息をついていました。
立憲民主党は働き方改革の問題で政府を追及している立場ですが、「こんなところでもパワハラの常態化を許しているんだな」と思ってしまいました。
噓の上塗りに終始する財務省
国民目線で見れば、「富山局次長も素直に間違いを認めて謝罪するか、発言を撤回するなどすればいいのに」と思いますが、何やらしがらみでがんじがらめの様子です。
「原本はある、調査します」→「原本はなかった、私の勘違いでした。すみません」
とはできないようで、
「調査方法を説明するつもりだった。書類は提出済み。任意か強制かは答えられない」
と、嘘の上塗りをしているだけです。
このあたりを共産党と日本維新の会が追及していますが、なぜ「強制捜査を受けて押収された」「地検から提出を求められて任意で提出した」の2択すら答えられないのか、不思議でなりません。
永田町の人間からすると、先は読めています。“朝日砲”はスクープではあるものの、内閣総辞職にまでは追い込めません。決裁文書の書き換え疑惑も、すでに司法に移っている案件なので、国会の場では追及しきれません。そのため、立憲民主党の議員たちが騒いでいますが、この議論は平行線をたどるだけです。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。