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奨学金「批判」の誤解…滞納者の半数、返済義務を認識せず利用

取材・文=小野貴史/経済ジャーナリスト
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――先生の反応はどうでしたか?

本山 模擬試験でE判定だったので「大丈夫か?」と言われましたが、まだ受験の1年前だったので。3年になってからの成績は、1学期に学年で10番から20番くらいに伸びました。クラスでも3番以内に入りました。夏休み明けには学年1位の成績を取るようになって、模擬試験もA判定に上がりました。

――それにしても、なぜ1学期にそれだけ伸びたのですか。進学校なので他の生徒も猛烈に勉強していたはずです。

本山 私が一番勉強したと思います。戦略もありました。塾や予備校に通うと、つくられたコースに乗っかるような感じになってしまうのですが、私の場合、東大に受かるための研究を自分で徹底的に行って、何が良いのかを割り出して勉強しました。そういう戦略が奏功したと思います。

大学側の説明不足

――最近、日本学生支援機構奨学金制度への批判が強いです。その金利は上限3%ですが、適用されているのは市中金利で、数年来ゼロ%台が続いています。奨学金を批判する報道のなかには、3%を前提に返済金額を計算しているものもあります。

本山 同機構のホームページには「最高3%」と書かれているので、それだけを見ると「そんなに金利が高いのか」と思ってしまう。もっと細かく見ると実際の運用金利を確認できて、借りている立場からすると「そんなに高い金利ではない」と理解できるのですが、不勉強なまま書いてしまう人もいれば、運用金利を理解していても部数を伸ばすためにセンセーショナルに叩きたいメディアもいるのが現状だと思います。
 
――同機構の調査では、奨学金を延滞している人の48.8%が借りる前に返済義務を知らなかったということですが、意外でした。この人たちは給付型の奨学金だと思っていたのでしょうか。

本山 返せなくなった人は、それだけ誤解をしていた割合が高かったということですね。

――大学は説明会などで返済について説明しないのですか。奨学金は借金なんだよと。

本山 大学にもよると思いますが、私が借りた時の説明会では、そんなに詳細な説明がされた記憶はなくて、淡々と事務的に手続きの方法が説明されました。もしかしたら説明されていたのかもしれませんが、聞く側にも問題があったと思います。もちろん、連帯保証人欄への記入は説明されましたが、それがどういう意味なのか、連帯保証にはどんなリスクが伴うのかについて、学生がきちんと認識するレベルまで強調して説明されませんでした。説明する側にも問題はあるでしょう。

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