野党3党の参院議員が3月26日、大阪拘置所で勾留中の森友学園前理事長・籠池泰典被告と接見したことで、昨年7月から約8カ月続く籠池夫妻の長期勾留に注目が集まった。接見で籠池氏は開口一番「国策留置のようなものだ」と語ったという。
言いたい放題やりたい放題やってきた籠池氏が、世間への見せしめにされているととらえられている感があるが、公判はまだ一度も開かれておらず、法廷で籠池夫妻の罪が裁かれたわけでもない。籠池氏の手には霜焼けができていると伝えられている。
これをきっかけに長期勾留の実態が、メディアでも紹介された。だが、実際に勾留を経験したわけではない弁護士らの話は不正確な部分も多い。勾留中は「軽作業のみさせられます」などと解説している弁護士がいたが、身柄を確保されているだけで名目上は刑罰ではないので、なんの作業もさせられない。「テレビはあまり入らない」と言っていた弁護士もいたが、テレビが入ることがあるのは確定死刑囚のみであり、未決勾留されている被告にはテレビは入らない。ちなみに確定死刑囚が拘置所に収監されるのは、死刑そのものが刑罰であり、そのための身柄の確保という位置付けだからだ。希望すればわずかな対価が得られる軽作業ができるのは、確定死刑囚である。
3畳敷きでトイレや洗面器付き
筆者は27歳の時、成田空港反対運動において、公務執行妨害の容疑で逮捕・起訴され、千葉刑務所に約半年間勾留された。逮捕され、まず留置されたのは、千葉県警の千葉西署である。23日間の取り調べの間に起訴が決定し、千葉刑務所に移送された。
籠池夫婦が勾留されているのは大阪拘置所であるが、日頃の報道ではよく東京拘置所の名が出てくる。千葉刑務所に勾留されたというのは意外に思われるかもしれない。拘置所というのは、すべての都道府県にあるわけではない。千葉のように拘置所のない県では、刑務所内の施設に勾留されるのだ。
午後に移送され、諸手続を経て、3畳敷きでトイレや洗面器もある房に入れられた。独居房と呼ばれる、1人用の部屋だ。房内には座り机と寝具、ちり取りやほうきなどがある。
午後4時30分に、夕食。午後4時50分に点検がある。看守に番号を呼ばれ、声を出す。房内では、ラジオ放送が聞ける。ラジオ機を持ち込めるわけではない。館内放送のように房内設置のスピーカーから流れるのだ。チャンネルの選択はできない。ラジオをオンにするかオフにするかの選択しかない。オンオフは自分では操作できない。中から押すと、外にパタンと木札が飛び出す仕組みの報知器という装置がある。これを見てやってきた看守に頼むのだ。ラジオのボリューム操作も同様だ。