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年金制度を危機に晒す「年金機構」の実態…国民の個人情報を中国に漏洩、年金過少給付

文=佃均/フリーライター
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年金制度を危機に晒す「年金機構」の実態…国民の個人情報を中国に漏洩、年金過少給付の画像1日本年金機構本部(「Wikipedia」より/あばさー)

 日本年金機構が入力業務を委託した大量の個人情報が、無断で中国の業者に再委託されていた問題。3月20日に年金機構の島藤一郎理事長が会見で明らかにした。2月15日の年金給付のあと、約1万5000人が数万円の過少給付(申告した所得税控除が受けられなかったため)に気がついていなかったら、年金機構は「なかったこと」で済ませていたかもしれない。

 発表によると問題となったのは年金受給者1300万人分の入力業務で、前年と変更があったのは694万人分だった。そのうち501万人分が中国・大連の業者に再委託され、入力漏れ8万4000人分、誤入力31万8000人分が発見されたという。これに伴って政府は、3月26日に予定していたマイナンバーと年金の情報連携の再延期を発表した。マイナンバーの本旨「税・社会保障・災害対策」の一画が崩れたことになる。

 マイナンバー制度は2016年1月から実施されており、その情報システム構築に国と地方公共団体を合わせて総額5000億円もの税金が投入されている。「ちっとも便利にならない」「使い勝手が悪い」など不評が先行しているだけに、今回の情報連携の再延期はマイナンバー推進派にとって大きなつまずきだった。

昨年10月に契約違反を把握していた

 
 まず、これまでの経緯を整理してみよう。年金機構が入力業務を委託したのは、年金から所得税を控除するための「扶養親族等申告書」。昨年8月、年金受給者に封書で送付され、年金受給者と扶養親族の氏名、ヨミ(ふりがな)、住所、生年月日、性別、寡婦・寡夫の種別、障害の有無、個人番号(マイナンバー)、配偶者の所得見積額などを記入・押印して、年金機構に返信することになっていた。従来はハガキだったのが封書に変わったことが周知されず、返信しないまま放置した人も少なくなかったという。

 そのデータ入力業務を委託する一般競争入札が行われたのは8月9日だ。「扶養親族等申告書」の返信締切日(12月11日)のあとで入札したのでは、2018年第1回(2月15日)の年金給付に間に合わない。つまり入札が行われた8月時点では、入力総数が何件になるかわからない。そこで1件当たりの入力金額で入札したところ、東京・東池袋に本社を置く従業員80人ほどのSAY企画という情報処理会社が、計800人による手入力(キーボード入力)を条件に、1件14.9円で落札した。

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