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麻生財務相が「最高顧問」の外国人実習制度「利権」団体…実習生の低賃金化を助長

文=出井康博/ジャーナリスト
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麻生財務相が「最高顧問」の外国人実習制度「利権」団体…実習生の低賃金化を助長の画像1麻生太郎財務大臣(Natsuki Sakai/アフロ)

 先日、ベトナム人実習生が福島第一原発の除染作業に従事していたことが判明し、問題となった。外国人技能実習制度の職種に「除染」はない。にもかかわらず、実習先の建設会社が請け負った仕事に駆り出されていたのである。
 
 いくら政府が「実習」という建前に固執しようと、実習制度は日本人が嫌がる仕事を低賃金で外国人労働者にやらせる手段にほかならない。ベトナム人実習生の「除染」問題によって、その実態が図らずも露呈した格好だ。

 新聞やテレビでも頻繁に報じられるように、実習制度をめぐる問題は数多い。残業代の未払いなど実習生への人権侵害もあとを絶たない。実習生は職場を変わることも許されず、しかも給与は最低賃金レベルとあって、失踪して不法就労に走る者も目立つ。制度の根本的な見直しが必要であることは明らかだ。

 しかし制度は見直されるどころか、昨年11月に拡充が決まった。最長3年の実習期間が5年に延長され、「介護」分野での実習生受け入れも可能となる。2017年6月時点で過去最高の約25万2000人を数える実習生も、さらに増えていくことは間違いない。

 なぜ、多くの批判を浴びながらも実習制度は存続しているのか。その大きな理由は、政治の「利権」が絡んでいるからだ。

「監理団体」の実態

 実習生の受け入れには、民間の人材斡旋会社などは関与できない。代わって送り出し国と日本の双方に、それぞれ仲介役の「団体」が存在する。日本側の組織は「監理団体」と呼ばれる。新聞などでは「商工会など非営利の監理団体」(2016年1月13日『日本経済新聞』電子版)などと説明されるが、正確ではない。監理団体は「事業協同組合」といった公的なイメージの看板を掲げてはいるが、実態は営利目的の人材派遣業者と大差ない。

 監理団体は、実習生の受け入れ先から1人につき毎月3~5万円前後を「監理費」として徴収する。「監理」とは名ばかりのピンハネである。零細な企業や農家などが大半を占める受け入れ先には重い負担となる。結果、実習生の賃金が抑えられる。
 
 監理団体の介在だけでもなくせば、実習生の失踪はかなり減るはずだ。しかし、制度が改まる気配はない。監理団体には、政治の後ろ盾があるからだ。監理団体の運営には、落選もしくは政界を引退した政治家がかかわっていることが少なくない。「中国は旧社会党、それ以外のアジア諸国は自民党」といった具合に、与野党で受け入れ利権の棲み分けまで以前はあった。現在でも、小泉純一郎政権で幹事長を務めた武部勤・元自民党衆院議員が代表理事を務める一般財団法人「東亜総研」は、監理団体としてベトナムなどからの実習生を受け入れている。現職の国会議員で、自民党幹事長という要職にある二階俊博氏も、同法人の特別顧問だ。監理団体は、問題が起きれば入国管理局など行政機関とのやり取りが生じる。また、送り出しの政府関係者とのコネクションがあれば、受け入れもやりやすい。そんな事情もあって、政治家の名前が威力を発揮する。

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