一般刑法犯の検挙者は2005年以降減少しているものの、再犯率は1997年以降上昇し続け、15年には過去最高の48.0%となった(2016年版「犯罪白書」)。また、再び罪を犯した人の70%が無職で、再犯率は仕事に就いている出所者の3倍に上っている。出所者が社会復帰するには「居場所」と「仕事」がもっとも大切だといわれる。
3月1日、刑務所や少年院から出所・退院した人の社会復帰を応援する求人誌「Chance!!」が創刊された。創刊号に掲載されている企業は、建設・土木・福祉・外食・製造など12社。募集職種や求める人財像(人材像)、勤務地、給与・待遇などの記載があるのは一般の求人誌と同じだが、大きく異なるのは「採用できない罪状」という項目があることと、文中の漢字すべてに読み仮名が振ってあることだ。また、全社とも「身元引き受けOK」で「寮完備」なのも特徴的だ。
代表者メッセージの欄には、「やる気さえあれば何歳からでもやり直しはできます」や「まずは人を信じましょう!! そこからはじまります」など熱いメッセージが並ぶ。また、ある製造業の会社は、非行歴や犯罪歴のある人の採用実績が13人とあり、そうした人たちを応援しようという真摯な気持ちが伝わってくる。ただ、その13人の中で2年以上続けて勤めているのが1人だけであるとも書いており、理想通りにはいかない難しい現実も窺わせる。
少女の社会復帰のために会社を設立したが……
この求人誌を発行しているのは、ヒューマン・コメディ(東京都豊島区)という会社で、非行歴や犯罪歴がある人の就労・教育支援事業をしている。もともとサラリーマンだった代表取締役の三宅晶子氏が会社を立ち上げたのは2015年7月。その思いを聞いた。
「人が好きなので人材系の会社に転職しようと思い、14年に10年間勤めていた情報通信系の会社を辞めました。どうせなら、まずはもっとも課題の多い人たちに接しておけば、のちのちどんな人材ビジネスでもやっていけるだろうと思い、奄美大島の青少年支援センターと都内の受刑者支援団体で、ボランティアをしました。そこで非行歴や犯罪歴のある人たちは、なかなかやり直しがきかないという現実にショックを受けました。そういう人たちを支援する会社をつくれば、皆が過去を包み隠さずに社会で輝けるようになるのではないかという妄想が膨らみ、お金もノウハウもないまま、つい会社を登記してしまいました」