表敬訪問に訪れた金メダリスト・後藤希友選手(ソフトボール日本代表)のメダルに噛みつき、大バッシングを受けた河村たかし名古屋市長。
数名のメダリストがメダルを噛む行為をよく目にするが、それはあくまで「メダリスト本人」がやっている行為である。ましてやコロナ禍において、わざわざマスクを外して噛みつくとは……。後に河村市長は「愛情表現だった」とコメントしたが、行為の裏に自身の「親しみやすさのPR」という思惑があったことは否めない。
河村市長が失敗した“和ませの術”
「1点を取りに行って4失点したような行為となりましたね。そもそも、河村氏は親しみやすさで名古屋市民の票を集めてきました。パフォーマンス型の政治家ではありますが、今回の行為は完全に裏目に出てしまいました。後藤選手が所属するトヨタ側もあきれ果てています」(政治部記者)
この件に関して、多くの芸能人やスポーツ関係者、メダリストがコメントやツイートをする中、印象的だったのは、至学館大学レスリング部・栄和人監督の「(教え子である)吉田沙保里選手が金メダルを獲って17年間、いろんな方に触ってもらったが歯を立てた人は1人もいなかった」というものだ。
前出の政治部記者は、こう続ける。
「河村市長は昔から場を和ませることを得意としており、今回も一種の“和ませの術”だったわけです。結果として金メダルを交換することになるなど、パフォーマンスとしては裏目に出てしまいましたが、これを機に己を戒めてくれればいいのでは、とも感じます。一方で、政治家の不祥事といえば、無免許運転で事故を起こした木下富美子・東京都議も大きな問題です」
東京都議会議員選挙の期間中に無免許運転で人身事故を起こした木下都議は、「(免許)停止期間が終わったと勘違いしていた」と苦しい弁明をして批判を浴びた。しかも、過去3年で5回の免停処分(速度違反2回、携帯電話使用2回、信号無視1回、一時停止無視1回)を受けているなど、交通違反の常習者とみられている。
都議会では辞職勧告決議案が全会一致で可決されたが、法的拘束力はないため、進退は本人の意思次第だ。しかし、議会を欠席した木下都議は雲隠れを続けている。
雲隠れでも収入は4年8000万円?
「木下都議は自身のホームページに謝罪文を掲載した後、都民ファーストの会を除名となりましたが、1人会派(SDGs東京)を立ち上げました。議員報酬と政務活動費を合わせた収入は、任期4年で8000万円近くとなります。それを手にするため、今は時が過ぎるのを待っているのでしょう。さすがに呆れてしまいます」(前出の政治部記者)
十分な説明責任も果たさず、ほとぼりが冷めるのを待っているような人物に議員としての資質があるのだろうか。
ある都議会関係者は「警察は、送検しても逃げられないように証拠を集めている、とも言われています」と語る。
過去には逮捕後に失職したにもかかわらず、議員として復活した人物もいるが、そうした大物にはしっかりとした「地盤」が存在した。議員を見捨てない有権者の存在である。一方、木下都議の当選は都民ファの人気によるところが大きく、確たる地盤もない。そのため、4年間逃げ続けるつもりなのだろうか。
都議会の第3回定例会は9月に開会される。木下都議が姿を見せるかが注目される。
「木下都議以外にも、最近はおかしな議員が多すぎます。委員会での質疑応答などまるでせずに、議会での居眠りは当たり前。挙げ句の果てに緊急事態宣言中の沖縄に行って遊んでいる姿をSNSにアップしたり……。政治家のレベルの低下が言われて久しいですが、それは言い換えれば、有権者がいい加減な候補者を選んでいるということです」(某市議会議員)
有権者は、最大の武器である投票権を有効に使うべきだろう。
(文=井山良介/経済ライター)