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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

総選挙前に公明党議員の事務所に家宅捜索、なぜ今?東京地検特捜部の最大限の“配慮”とは

文=神澤志万/国会議員秘書
総選挙前に公明党議員の事務所に家宅捜索、なぜ今?東京地検特捜部の最大限の配慮とはの画像1
公明党本部(「Wikipedia」より)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 永田町激震!……というほどではないですが、8月4日に東京地検特捜部が公明党議員の議員会館内の事務所などの家宅捜索を行いました。与党の議員事務所が捜索されるのは、なかなかないと思います。

 報道などによると、今回の捜査の対象となっているのは、公明党の吉田宣弘衆議院議員の政策秘書と、太田昌孝衆議院議員の元政策秘書です。この2人は、以前はともに遠山清彦前衆議院議員の秘書を務めており、遠山前議員と日本政策金融公庫からの融資を無登録で仲介した貸金業法の疑いがあるそうです。遠山前議員の現在のコンサルタント事務所なども捜索されていますね。

 遠山前議員といえば、緊急事態宣言下の今年1月に深夜に銀座のクラブを訪れていたことが発覚して、2月に議員辞職しています。吉田議員は遠山前議員の辞職に伴って比例で復活当選し、秘書も引き継いだのですね。

 遠山前議員は、「あの」太陽光発電関連会社・テクノシステムともかかわりがありました。同社の社長はすでに詐欺罪などで起訴されていますが、財務副大臣時代の遠山前議員に政府系金融機関の窓口紹介を依頼しており、秘書が担当者の紹介などにあたっていたことが報じられています。

 なので、吉田議員と太田議員は関係なく、お気の毒ですね。それぞれ「お騒がせとご心配をお掛けし、おわびする。事案の全容解明のため全面的に協力する」(吉田議員)、「私自身は全く関与していないものの、ご心配をお掛けし心よりおわびする。捜査には引き続き全面的に協力する」(太田議員)とコメントを出されています。

 8月4日の朝は、議員会館に出勤したら記者らしき方がたくさん来ていて、メインの入り口にはカメラを構えた方も多く、「暑いのに大変だなあ。何の取材かな?」とは思っていました。

 そうしたら、秘書仲間から「今日、東京地検が議員会館の事務所にガサ入れ(家宅捜索)するらしいよ。衆議院第1議員会館の9階と11階だって」と連絡がきました。「へえ、どこだろうね」と言っているうちに、吉田議員と太田議員の事務所であることがわかりました。

 それにしても、なぜ検察は家宅捜索の情報を事前にマスコミにだけリークするのでしょうか。当事者としては、突然ノックもなしに検察の人たちがぞろぞろ入ってくるのは怖いですよね。

 今回の捜査は、コロナ禍だからか、家宅捜索を受けている事務所前の廊下は通行止めとなり、通ろうとする人たちにはガードマンが行き先と目的を聞いていました。

 以前は捜索中に記者たちが事務所前の廊下にたむろしていたので、そうならないように整理しているのでしょうが、居場所がない記者たちがエレベーターホールに待機していたので、正直とても邪魔でしたね。

東京地検が「8月4日」を選んだ理由

 秋に総選挙を控えての事務所捜索で、公明党幹部は頭を抱えていると思います。イメージを大事にする政党ですからね。

 なぜこのタイミングかというと、おそらく来週は週刊誌が夏休みで「週刊文春」(文藝春秋)や「週刊新潮」(新潮社)が追及しないからではないでしょうか。あと、オリンピックで世間が盛り上がっているので、話題になりにくいという事情もあるでしょうね。東京地検として最大限の配慮をした上での日程だったんだろうな、と思いました。

 一方で、テクノシステムは太陽光発電などの事業名目で富士宮信用金庫(静岡県)と阿波銀行(徳島県)の2つの金融機関から11億円あまりをだまし取る事件を起こしていますから、遠山前議員との関係もさらに追及したいのでしょう。早く真相が明らかになるといいですね。

二階幹事長の「続投」発言に「幻聴」の声

 さて、自民党総裁選の日程調整でも動きがありました。

「9月17日告示・29日投開票」を軸に検討に入ったと報道されています。自民党の二階俊博幹事長は、菅義偉首相も出席した8月3日の党役員会で、総裁選管の設置を報告、今回は「党則に基づき国会議員と党員・党友の投票で行う」と明言したそうです。

 でも、「国民が菅総理の続投を望んでいる」というのはどうでしょうか(苦笑)。出馬を模索している陣営への牽制なのでしょうが、ネットでは「幻聴では?」とさんざん叩かれていましたね。

 菅首相の無投票再選を目指しても、人気の低下は世論調査の支持率が如実に表しています。二階幹事長には、きちんと自民党員の声を聞いて、しかるべき形で総裁選を行ってほしいと思います。

 もちろん、告示に先立って菅首相が衆議院を解散すれば、総裁選は衆院選後に実施されることになります。菅首相に、そのような度胸があるかどうか。神澤は、菅首相の「逆ギレ解散」にひそかに期待していますが、なかなかそうはならないでしょうね。

河村たかし市長が女子選手の金メダルをガブリ

 暑苦しいニュースばかりですが、オリンピックの日本人選手のメダルラッシュには癒やされますよね。コロナや猛暑など不安材料も多い中で、まさかここまで活躍されるとは、本当にうれしいです。メダルが取れても、取れなくても、みなさんががんばっている姿には神澤も励まされます。

 今回のオリンピックは招致決定から不祥事続きで、経費の問題などを考えると「素直に楽しめない」という声もありますが、選手の活躍はとても誇らしい気持ちになります。コロナによる延期もあって調整が大変難しかった種目もあると思いますが、選手たちはみんな「多くの人の努力で開催できたこと」に感謝を述べていて、素晴らしいです。

 アスリートたちが競技に集中できるよう、政治家はコロナや税金の問題の対策を考えなくてはなりませんが、なかなかうまくいきません。

 名古屋市の河村たかし市長は、金メダルを獲得した女子ソフトボールの後藤希友選手の表敬訪問を受けた際に、なんと金メダルを噛んでしまいました。案の定、ネットで大炎上していますね。本人が噛むのならまだしも、他人に噛まれるのはコロナ蔓延中でなくてもイヤですよね……。

 重症患者以外を自宅療養にする問題でも、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は「事前に官邸から相談はなかった」と明かしていますし、連携が取れていないのも不安です。

 でも、国民のみなさまのために現場で奔走している議員が多いのも事実です。ここはちょっと書かせてくださいね。

 コロナのほか熱中症も心配ですが、ご自愛ください。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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