東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が、いよいよ2年後に迫ってきた。現在、インターネット上では、ボランティアの待遇をめぐって波紋が広がっている。
3月下旬に公表された当初から、「やりがい搾取」「さすがに日程を詰め込みすぎではないか」など、批判の声を集めた「ボランティア募集要項案」。ボランティアの募集は9月26日よりスタートするが、今回新たにボランティアへの「支給金」が発表された。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、ボランティアの交通費を補助する名目で、活動1日当たり1000円のプリペイドカードを支給すると決定した。交通費以外にも幅広く使えて、ボランティアを務めた記念になるようなカードデザインを検討中だという。自宅などの滞在先から会場までの距離・交通費に関係なく、一律で1000円となる。
当初、大会前の研修や活動期間中の交通・宿泊費はボランティアの自己負担としていたが、次第に「交通費を一定程度支給する」など条件が緩和されていった。支給額に関しても、大幅な見直しが発生すると予想していた人は多かったが、蓋を開けてみると、実質「日給1000円」。ネット上には「1000円しか支給できないなら、いっそ出さないほうがマシだった」「小学生のお駄賃以下の金額」「組織委員会の人たちも1日1000円の給料で働いてほしい」といった批判が相次いだ。
「ブラック企業」を引き合いに出されるほど過酷なオリンピックボランティアの活動内容。「東京2020大会ボランティア」の公式サイトによると、ボランティア活動は1日8時間程度で1人当たり10日以上の参加を目安としている。活動を通して得られる「やりがい」や「達成感」が全面的に押し出されたが、やはり「1日1000円の報酬は安すぎると」いう指摘の声が圧倒的に多い。「活動時間が1日8時間だから、時給換算すると125円か」「とうとう日本では“ブラックボランティア”まで生まれてしまったか」など、悲嘆に暮れる人も少なくない。ちなみに、大会組織委のホームページに掲載されている『役員及び評議員の報酬並びに費用に関する規程』には、役員報酬は月額最高200万円と定めれている。
参議院議員の蓮舫は組織委員会に対し、9月18日に自身のツイッターでコメントを発信。「有償できちんとお仕事、アルバイトとして参加してもらえばいいのではないか」と、ボランティアの体裁を保ち続けるスタンスに苦言を呈している。
大会開催までに、ボランティアが活動しやすい条件が整うことを期待したい。
(文=編集部)