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75歳以上の運転免許保有者500万人の3割が認知機能低下の疑い…検査体制の遅れが深刻化

文=及川知晃/ジャーナリスト
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 警察庁の将来推計によると、75歳以上の運転免許保有者数は高齢者人口の増加に伴い、今後も右肩上がりの上昇を続け、16年の513万人(実績値)から21年には613万人(推計値)へと、100万人も増えると見込まれている。何も手を打たなければ、約600万人の3割に当たる約180万人が、21年には「認知症および認知症予備軍ドライバー」となりかねないのだ。

 ただ、改正道路交通法の施行から1年で、認知機能検査を受けて免許の取り消し・停止を受けた人が前年から大きく増えたことは、高齢ドライバー対策の一定の成果といえるだろう。第1分類と判定された5万7099人のうち、再受検や免許自主返納などを除いて、臨時適性検査(専門医の診断)または診断書の提出命令を受けた人は4万1486人。

 このうち医師の診断を受けた人は1万6470人で、認知症と判定されて免許の取り消し・停止を受けた人は1892人にのぼった。16年に認知症で免許の取り消し・停止を受けた人は597人だったので、3倍以上に増えたことになる。この数値は18年3月までの実績であり、医師の確定診断が出ていない人も含めると、まだ増えると見られる。

 この数字を多いと見るか少ないと見るかだが、第1分類と判定された人に占める割合はわずかに3.3%であり、前年から増えたとはいえ、少ないといわざるを得ない。認知症検査を行える医師の数や検査体制は十分とはいえず、今後、第1分類と判定された人の検査を迅速・確実に行えるかどうかも課題になっている。

 認知症にかかわる医師の診断を受けた人は、15年は約4000人、16年は約5000人だったが、17年は約4万人に増えた。検査を行う医師の確保と診断体制の確立も深刻な問題といえるだろう。

認知機能検査は最大4カ月待ち

 加えて、認知機能検査が義務化され、最近になって露呈した大きな課題のひとつに、認知機能検査を受けるための待ち時間が長期化していることがある。

「認知機能検査を受けるために自動車教習所に連絡をしたら、早くても1月末になると言われました」――。千葉県千葉市に住む角田権之助(仮名・80歳)さんは、運転免許更新の案内が届いた10月中旬、近くの京葉自動車教習所(千葉市稲毛区)に連絡して、認知機能検査の予約が簡単には取れないことを知った。

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