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大阪万博は「負の遺産」の隠蔽…際限なき無駄な公共事業、将来は府の財政を圧迫

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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大阪万博は「負の遺産」の隠蔽…際限なき無駄な公共事業、将来は府の財政を圧迫の画像1万博記念公園にある太陽の塔(「Wikipedia」より/663highland)

 55年ぶりに大阪で万国博覧会が開かれる。関西メディアは「万歳」状態だが、大丈夫なのか。

 パリの博覧会国際事務局(BIE)本部で11月23日に開かれた総会での投票で、大阪はエカテリンブルク(ロシア)、バクー(アゼルバイジャン)を大差で破った。開催は2020年開催の東京五輪の5年後だ。前回の大阪万博(1970年)は東京五輪(1964年)の6年後であり、間隔はほぼ同じ。「東京が2度目なら大阪も2度目を」と強調してきた松井一郎大阪府知事は、「世界中があっと驚くような万博にしたい」と興奮気味。世耕弘成経済産業相は「全国的にも大きなインパクトのある勝利」と話した。同知事とともに翌朝、関西国際空港に降り立った吉村洋文大阪市長は「埋め立てを急がないと間に合わない」などと話した。

 テーマは当初、「長寿」を中心にしたが、「長寿国でない発展途上国の票が取れない」と判断して、結局「いのち輝く未来社会のデザイン」に変更した。誰でもつくれるような場当たりキャッチコピーだ。世耕氏がプレゼンテーションで力説した「私たちの万博は、あたかもみんなにとっての実験室。SDGs(国連の持続可能な開発目標)を追い求め解決策を共に創造しよう」という安っぽいフレーズに笑ってしまう。

 開催半年間の入場者予想は、愛知万博を600万人上回る2800万人。国の試算による経済効果なる「捕らぬ狸」は2兆円だ。大阪府の御用学者がはじいた数字はもっと多い。今回の誘致費用は36億円。松井氏は「(当選したので)住民訴訟の心配はなくなった」と喜ぶが、将来、招致費を上回る損害が出ることも十分に考えられる。

 会場建設費だけで最低でも1250億円かかるとしているが、はるかに上回ることになるだろう費用は国、大阪府、民間で3等分する。さらに人工島への架橋の車線増加や、地下鉄延伸などインフラ整備は730億円とされる。愛知万博では会場へつながる高速道もつくられたが、閉幕後は利用者がほとんどおらず、維持費が財政を圧迫している。

経済活性化という嘘

 大阪市が小躍りするのには、ほかにも理由がある。「負の遺産」への批判解消である。「2008年五輪」の誘致に失敗し、「選手村にする」などと開発した夢洲(ゆめしま)へ引くはずの地下鉄も「無人島へつなぐのか」との批判で工事がストップしていた。万博名目で際限のない公共工事が進むだろう。

 25年大阪万博誘致の“言い出しっぺ”は橋下徹元大阪市長とされるが、70年の大阪万博も知らない彼の発想とも思えない。ブレーンでもある作家、堺屋太一氏の入れ知恵のようだ。堺屋氏は旧通産省の官僚時代、70年万博を主導し約6400万人を集客してみせた。

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