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沖田臥竜コラム

六代目山口組の餅つき大会が開催されるも…これまでと異なった点とは?

文=沖田臥竜/作家
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六代目山口組の餅つき大会が開催されるも…これまでと異なった点とは?の画像1餅つきに興じる司組長

 兵庫県神戸市にある六代目山口組総本部で、昨年12月28日に恒例の餅つき大会が開催された。

 筆者自身が現役だった頃も、親分のお供として餅つき大会に参加していたのだが、そこには六代目・司忍組長をはじめ、現在は府中刑務所に服役中の髙山清司若頭の姿もあり、そうそうたる親分衆が集うなかで盛大に開催されていた。

 餅つき大会は総本部の駐車場で行われ、準備は前日から行われるのだが、多くの屋台などが並び、組関係者の家族や知人、近隣住民らも参加するため、大会当日はお祭りのように賑やかになる。しかも、立ち並ぶ屋台では、すべて商品が無料で提供されるのだ。

 今では渡世から引退しているが、当時、それらの屋台を取り仕切る直参組長の実弟にあたる最高幹部に話を聞いたことがあった。

「年末のかきいれ時に2日間も身体をとられるのは大変だが、こればかりは仕方ない。山口組の代紋で商売させてもうてるからな」

 暴力団排除条例の施行以降、反社会的勢力とみなされたテキ屋は祭りなどから締め出されてしまったが、当時の縁日には今とは違う賑わいが確かにあった。暴排条例のすべてを否定するわけではないが、そんなテキ屋文化がいまだに残る六代目山口組の餅つき大会には、かつての縁日の賑わいが残っているのは確かだろう。

 ある年の餅つき大会のこと。総本部のガレージ当番にあたる二次団体の組織の組員の中に、筆者の幼馴染の同級生がいた。この組員が、親分と共に総本部に入る筆者の顔を見るなり、「昨日から餅つき大会の用意で慌ただしくて寝てへんで」と、苦笑い混じりに漏らしたことが鮮明に思い出される。六代目山口組にとっては、それほど力が入った行事なのだ。

携帯電話での撮影の制限も

 ところで、今回の餅つき大会では、携帯電話などによる撮影について厳しく制限があったようだ。

「2017年の餅つき大会では、携帯電話で撮影された動画がすぐさまSNSで拡散されるなどしていました。それにより不都合が出たわけではないでしょうが、最近では総本部内部の写真が出回るなど、危機管理上も問題がある状況が発生しています。そのため、毎年作成されている六代目山口組のアルバムの制作作業の際には、直参組長から担当の下部組員に対して、携帯電話の電源を切っておくように指示されることもあると聞きます。そうした流れのなか、餅つき大会でも、バシャバシャ写真を撮る近隣住民の方々に対して、『あとで撮影させるから、今はやめてほしい』と幹部がお願いする場面もありました」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 ちなみに、司組長が専用の臼で餅をつく際には、カメラ撮影も一斉に許可されたという。フラッシュが一斉に焚かれるなかで、司組長が2度、餅をついたようだ。

 例年、司組長が餅をつく臼は専用ものが用意されており、それ以外はブロックごとに用意された臼で直参の親分衆らが思い思いに餅をつくのだが、今回はそういった光景が見受けられなかったという。

「毎年、臼の周りにはプラチナ(直参)組長らの姿があるのだが、今回はパイプ椅子に座って餅をつく人たちの姿を見ている組長らが大勢いた気がする。もしかすると、来賓のお子さんや保護者の方々を優先させようとする配慮からそのようになったのではないか。見る限り、実際に餅をついていたプラチナ組長は、司の親分と一緒につかれた親分衆くらいであったように思えた」(六代目山口組関係者)

 その他、目新しい点としては、昨年、任侠山口組から六代目山口組二次団体へ移籍した幹部の姿があったようだ。

 こうして餅つき大会は滞りなく進行していき、六代目山口組では年内最後の行事を終えたのであった。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新刊は、元山口組顧問弁護士・山之内幸夫氏との共著『山口組の「光と影」』(サイゾー)。

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