森友問題、試掘写真偽装が発覚…工事事業者「(国交省から言われ)いい加減につくった」
事業者、回答書でも同一の試掘穴だと認める
これまで国会で行われてきた野党合同ヒアリングでは、写真偽装問題について国は業者が撮影した写真だと主張し、疑問点については森友学園の校舎建設を設計・管理してきたキアラ建築研究機関に問い合わせるとし、1年6カ月も回答を引き延ばしてきた。ところが、当の試掘した藤原工業の社長が、試掘写真の偽装を認める発言を行ったのである。国は、この偽装写真に基づき大幅値引きを決定したことになる。
そこで国(国交省)は、写真偽装を認める発言を受け、さすがにそのまま放置するわけにいかず、慌てて藤原工業に回答させたのであろう。藤原工業は質問への回答書をわずか2週間で作成して1月30日には国交省へ提出し、2月4日に国交省は参議院に報告した(写真2参照)。
回答書では、藤原工業の社長が1月17日に野党の国会議員8名に報告した内容の真意が伝えられていないとされているが、もっとも重要な「(異なった試掘穴として説明していた)写真NO7、NO10、NO11は同一の試掘穴か」という質問に対して「同一の試掘穴」だと認めている。国は、これまで試掘写真資料は事業者が作成したとゲタを預けて答弁を避けてきたが、藤原工業が同一の穴だと写真偽装を認めた重要な発言が、回答書には記載されていたのである。
この試掘写真資料は、森友問題の核心点である8億円値引きの唯一の実証資料であった。その資料の偽装を認めたということは、国が行った8億円の値引きの根拠が失われたということであり、この事実はとてつもなく大きい。今回の回答書は、1月17日の藤原工業社長の発言を国交省がチェックして記載したのであろう。この間の経過を知っている者にとっては、回答書には重大な矛盾や事実の解明を遠ざける記述も見られるが、本質的な問題は、同一の試掘穴の写真をまったく別の試掘穴だとする写真偽装を、その写真を撮影した事業者が認めたという点にある。
今回、写真偽装問題の要点を改めて振り返ってみる。