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垣田達哉「もうダマされない」

ふるさと納税、寄付を市民ではなくサイト手数料のために使う「究極の税金無駄遣い」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
ふるさと納税、寄付を市民ではなくサイト手数料のために使う「究極の税金無駄遣い」の画像1泉佐野市 HP」より

ふるさと納税やらなきゃ損! ウチは米は買ったことがないよ」
「毎月1回、家で和牛の焼き肉パーティ! 外で食べるより豪華だから家族も大喜び」
「ふるさと納税のお蔭で、もっぱら家飲み。日本酒も焼酎もビールも、2000円で1年中飲み放題だから」

 ふるさと納税の返礼品制度が始まってから、こんな話を耳にするようになった。しかし、こうした人たちは、どちらかというと裕福な家庭だ。昨年に本連載記事『ふるさと納税は、高額所得者ほど高額な返礼品を得られる「金持ち優遇政策」である』(2018年9月22日付)で述べたように、誰でも「2000円で1年分の米を得られる」わけではない。

 返礼品が高額になったことで、国は6月以降は「返礼率3割以下」「返礼品は地元産品」に規制する方針を固めたところ、泉佐野市は「100億円還元閉店キャンペーン!」を始めた。泉佐野市の特設サイト「さのちょく」を利用して寄付を申し込んだ人限定で、返礼品に加えて寄付額の最大20%分のアマゾンギフト券が提供される。

 PayPayの100億円還元キャンペーンに便乗した施策のように見えるが、この原資は「個人資産」や「企業の宣伝広告費」ではなく、税金である。税金の使い道として、今回のキャンペーンは、とても妥当とは思えない。

 例えば1万5000円の寄付をすると3000円分のギフト券がもらえるというものだ。給与収入700万円(独身又は共働き)の場合、2000円の出費で10万8000円の寄付をすることができる。最大20%のギフト券が付くので、10万円の寄付を申し込めば、返礼品と最大2万円分の金券も受け取ることができる。

 泉佐野市は「アマゾンギフト券は、返礼品ではない」というが、返礼品(品物)でないとしても金券である。金券ショップに持っていけば、現金に交換することもできる。3000円のギフト券が金券ショップで2000円に交換できれば、ふるさと納税の自己負担分さえなくなる。金品を提供していることに変わりはない。

500億円は夢の数字ではない

 では、なぜ100億円相当ものギフト券を配ることができるかといえば、「ふるさと納税は、多くの自治体が大手民間サイトを通しているので、サイト運営会社に手数料を支払っているが、泉佐野市は『さのちょく』という市が独自運営するサイトで行っているため、手数料は発生せず、その分を還元資金に充てる」(WEB関西テレビより)ことができるからだ。関西テレビの取材に対し、泉佐野市の担当者は「そうです。それぐらいの手数料を払っていたので。特設サイトを使うことによって手数料が浮いてくるといったらおかしいが、その分を寄付者に還元していく」と答えている。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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