今から2年前の有馬記念で、私は以下の予想記事を記した。
https://biz-journal.jp/2019/12/post_133960.html
レースの2日前に「アーモンドアイよりも狙い目だ」と断言したサートゥルナーリアは2着。勝てはしなかったものの、3連複で107倍、3連単で573倍を運んでくれた。
競馬には、過去のレース傾向から狙い目となる予想術が存在する。今年の有馬記念で重視したいファクターを2つほど紹介しよう。
データで浮上する「アノ馬」
私が毎年参考にしている「中央競馬 全重賞パーフェクトデータブック」(英和出版社)には、G1レースごとに特徴のあるデータが数多く掲載されている。有馬記念のページを見て個人的に気になったのが次の2つのデータだ。
まずは「格」。過去10年の有馬記念の1着馬10頭中、G1ウィナーは8頭。確率にして5回中4回がG1馬の優勝である。今年の出走予定馬のうち、G1馬は次の6頭だ。
アカイイト(エリザベス女王杯)
エフフォーリア(皐月賞 天皇賞・秋)
キセキ(菊花賞)
クロノジェネシス(秋華賞 宝塚記念2勝 有馬記念)
タイトルホルダー(菊花賞)
ペルシアンナイト(マイルCS)
データ的に、7歳のキセキとペルシアンナイトは軸には不向き。過去10年の有馬記念で6歳以上馬は33頭出走しているが、3着が1頭のみで1・2着は皆無だ。
近年、有馬記念を勝った牝馬はジェンティルドンナ、リスグラシュー、クロノジェネシスの3頭だが、3頭ともG1を3勝以上していた。“女傑”でなければ勝てないわけで、エリザベス女王杯を勝ったばかりのアカイイトも1枚、いや2枚落ちる。
さらに、過去10年の優勝馬10頭の前走着順は全馬4着以内であり、凱旋門賞7着だったクロノジェネシスも軸にはしにくい。グランプリ4連覇が懸かるが、買ってもヒモ(=相手馬)だ。
残ったのは、前走で天皇賞を勝ったエフフォーリアと菊花賞を勝ったタイトルホルダーの2頭。ともに同じ中山コースの皐月賞(2000m)の1&2着馬だが、このとき、エフフォーリアは途中から逃げたタイトルホルダーを4番手からマークして3馬身チギッた。
タイトルホルダーは菊花賞と同じく気分よく逃げるだろうが、福島記念をものすごい持久力で逃げ切ったパンサラッサと、途中でマクリも考えられるキセキの存在が厄介である。となると、展開的には3頭を直後でマークしそうなエフフォーリアが、もっとも軸に向いている。
「今年の狙い馬」はエフフォーリア。単勝と、この馬を軸とした連勝馬券を買いたい。
危険な8枠…ここを引いたら消し
もう一つ、重要なのが「枠順」だ。先の本では「過去10年で連対皆無の8枠」と題して、過去35年の枠順別成績が掲載されている。枠順ごとの3着以内数を見てみると、以下のようになっている。
1枠15頭
2枠13頭
3枠16頭
4枠16頭(8勝=最多勝利枠)
5枠14頭
6枠10頭
7枠14頭
8枠6頭
8枠だけは著しく複勝率が落ちるのだ。理由は簡単で、外枠は好ダッシュで先手を奪わないと内ラチ沿いを走りにくくなる。内枠からラチ沿いを走る馬よりも、実際の走行距離が長くなるのだ。内枠のラチ沿いと外枠から外目をブン回した場合、コーナーごとに約5m前後の差が生じる。有馬記念はコーナーを5回も回るので、20~25mほど違うケースもある。
となると、8枠はヒモがベストで軸にはしづらい。特に、人気馬が入ったら思い切って消す手もある。軸のエフフォーリアが8枠に入らないことを願いたい。
(文=井山良介/経済ライター)