保育所運営や子育て支援を行う認定NPO法人フローレンス代表、駒崎弘樹氏のTwitterでの投稿がインターネット上で、「子どものプライバシーの侵害では」などと物議を醸している。駒崎氏は厚生労働省 「イクメンプロジェクト」座長や内閣府「子ども・子育て会議」委員などを務めている。
ネット上で拡散されている駒崎代表の投稿画像は以下の通り。
「さっき娘に、ついに『クラスの誰もパパとお風呂入ってないから、私ももう入らない』と言われた時の(妻が隠し撮ってた)自分。我ながら表情ヤバい」(原文ママ、以下同)
この投稿に対し、Twitter上では以下のような投稿が相次いでいる。
「11歳の娘と風呂に入れなくなることを残念がる父親が子どもの権利だとかで専門家ヅラしてんの恐ろしすぎて無理です。娘と一緒に風呂に入る権利がある前提の衝撃だろ、晒すなよ」
「娘さんから『クラスの誰もパパとお風呂入ってないから、私ももう入らない』と言われてショックな表情をするのが理解できませんな。娘さんの感覚はしごくまっとうですよ」
「小5まで父親と風呂入っててしかもそれに父親が異常に執着していることを世界にバラされた娘かわいそすぎる」
「これを晒すことによって娘さんが誰かに何か言われるとかそういうことは考えないのかな 子供の写真晒してる親もそうだけど、安易に子供の情報SNSに晒さないほうがいいんじゃない?」
当該投稿は27日までに削除された。
親子の混浴は何歳まで可能?
親子で何歳まで混浴するのかは各家庭の養育方針の問題だろう。日本国内の法律では「何歳まで可能」もしくは「何歳からは違法」という基準はないようだ。
一方で、銭湯や温泉などの公衆浴場に関して、厚生労働省は2020年12月10日、各都道府県に通知「公衆浴場における衛生等管理要領等の改正について」を送付。一定のガイドラインを示した。
同通知では、厚生労働科学特別研究事業「子どもの発育発達と公衆浴場における混浴年齢に関する研究」の成果などを踏まえ、「公衆浴場における衛生等管理要領」で示す男女の混浴制限年齢の目安を「おおむね 10 歳以上の男女を混浴させないこと」から「おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと」に改正したことを各自治体に“技術的に助言”した。
全国の自治体では、この通知を元に“公衆浴場の混浴年齢を定める条例”を見直す動きが進んでいる。一方、厚労省医薬・生活衛生局 生活衛生課の担当者は「家族外の不特定多数がいる公衆浴場に関する法律『公衆浴場法』の通知です」と話し、「家庭内の親子の入浴を想定したものではない」との考えを示した。
「子どもにもプライバシーがある」
一方で、東京都内の小学校に勤務する養護教員の女性は駒崎代表の投稿について、次のように懸念する。
「家族の入浴に関しは、お子さんの発育度合いや、各ご家庭の養育方針もあることなので、外部から一概に『こうあるべきだ』とは軽々に言えません。ただ、小学校5~6年生のお子さんだと早ければ第2次性徴が始まります。男女を問わずこうした話題にとても敏感な時期です。“親として誇らしい子どもの成長の記録”としてSNS上に投稿したのかもしれませんが、それによって傷ついたり、傷つけてしまったり子どもいます。注意が必要だと思います。
また家庭内では大丈夫な話でも、SNS上で世界中に発信することが適切かどうかは別だと思うのです。政府専門委員の要職に就き、たくさんのフォロワーを抱えている団体の経営者の方のSNSへの投稿は大きな影響があります。政府の委員といった公人に準ずる人のネット上での発言は、このようにメディアの取材の対象になり、さらに広まってしまいます。子どもにも社会があって、プライバシーもあるのです。保護者だからといって子どもの話をなんでも公にしていいという訳ではないと思うのですが……」
当編集部はフローレンス広報チームに対し、駒崎代表がどのような考えから今回の投稿をし、後に削除したのか、また子どものプライバシーに関してどのような見解を持っているのか、文書で質問をした。など同団体は25日から年明け1月5日まで休業とのことで、回答は5日以降になる見込みだ。回答があり次第、追記する。
(文=編集部)