3月9日に行われた韓国大統領選挙では、野党「国民の力」の尹錫悦氏が与党「共に民主党」の李在明氏を0.73ポイントの僅差で破った。尹氏は5月に第20代大統領に就任し、韓国は5年ぶりに政権が変わる。
文在寅政権下で日韓関係は戦後最悪といわれるまでに悪化したが、尹政権下ではどうなるのだろうか。また、文政権の5年間で韓国に起きていた異常事態とは何か。以下、元駐日韓国大使館公使で「統一日報」論説主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏が総括する。
選挙無効訴訟に沈黙する司法とマスコミ
韓国では2020年4月15日、総選挙(選挙区253、比例代表47の合計300議席)が行われましたが、選挙後、約半分の選挙区と比例代表の全国区で選挙無効訴訟が提起されました。選挙無効訴訟は、法律では180日以内に大法院(日本の最高裁判所に相当)で結論を出すことになっています。
しかし、1年以上経った2021年6月から、訴訟対象の4%にすぎない5つの選挙区の再検票が行われたものの、それすら結論を出していません。大法院は選挙管理委員会とグルになり、おびただしい不正選挙の証拠を黙殺、隠蔽、捏造、破棄までしています。なのに、韓国の大手マスコミはこの不法を報道しません。でも、多くの国民はソーシャルメディアなどを通じて不正選挙を知っています。
黄教安元総理は今回の大統領選の前に「不正選挙防止隊」を結成、不正選挙を防止するため当日投票を呼びかけました。不正選挙防止隊は大々的な広告を通じて、文在寅集団や選管委に抵抗、牽制しました。
文在寅集団が、憲法が保障する「公正な裁判を迅速に受ける国民の権利」を踏みにじりながら選挙無効訴訟を進行しないのは、大法院が再検票の結果、全国区の選挙無効が確定すれば、今の国会は解散せねばならないためです。
不動産高騰と税金爆弾で国民の不満が爆発
社会主義体制への変革(革命)のため手段を選ばない文在寅集団は、中共のデジタル全体主義独裁を真似し、たまたま起きた新型コロナによるパンデミックを悪用した「政治防疫」で国民を徹底監視・弾圧しました。
文在寅集団は、金持ちたちの財産を取り上げて貧困層に配るという共産主義思想を隠さず、特権階層となった彼らは社会のあらゆる利権を独占し、国と国民を搾取してきました。彼らは、中国のようにすべての土地を国有化し、国民には使用権のみを認めるべきだとまで言い放っています。
韓国では、市場原理を否定する左翼政権の下では必ず不動産価格が高騰し、文政権も例外ではありません。文政権は、年金生活者や収入のない高齢者にまで無慈悲に税金を課しました。不動産に対する各種税金や財産税、特に住宅を2つ以上持っている人には「税金爆弾」を課します。海外に移住したいなら出ていけ、という圧政です。
国家安保を破壊した親中・主思派集団
韓国は1948年8月に建国しましたが、現在の公教育では「全教組」が中心になって、韓国の現代史を徹底して歪曲、捏造して教えています。韓国を自由民主体制の海洋文明から切り離し、全体主義の一部にしようとしているわけです。彼らは、スターリンと毛沢東と金日成が1950年からの朝鮮戦争で韓国を共産化できなかったことを悔しんでいるのです。正気の沙汰でありません。
親中・主思派集団は、韓国の真の民主政権は金大中、盧武鉉、そして文在寅の3人だけで、他の政権は米日ら外勢の傀儡政権という認識を持っています。それで、占領軍のように前職大統領、国防部長官、国家情報院長たちなどを逮捕し、国家安保を無力化、破壊する反逆を平気で恣行しました。
自由民主共和国の韓国の主敵である金日成王朝や、その後ろ盾の中共にすり寄る文在寅集団に対し、大半の韓国国民が憤然と立ち上がったのが、今回の大統領選でした。韓国で全体主義勢力を一掃するまで、この内戦は続きます。
(構成=編集部)