河野太郎大臣ら自民党の大物議員は国会で居眠り、細川元首相はウクライナ支援の差
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
国会では、10月17日から衆議院予算委員会が始まりました。岸田文雄首相以下全閣僚が出席して、物価高騰に対する経済対策や旧統一教会、ウクライナ問題などが審議されています。
いつにも増して課題は山積していますが、相変わらず議員の居眠りも目立ちます。ツイッターでは河野太郎デジタル大臣の居眠りが超有名ですが、10月5日付けの日刊ゲンダイは、自民党の麻生太郎副総裁、萩生田光一政調会長、茂木敏充幹事長の居眠りについて伝えています。
こうした国会に対する国民の怒りがあきらめに変わり、「投票しても何も変わらない」という行動に表れてしまっているのかも……と思ってしまいます。だとしたら、とても残念です。むしろ投票に行っていただきたいです。
ウクライナ議員団来日への疑問
国会で審議される問題で重要でないものはありませんが、神澤は特にウクライナ問題に注目しています。これは明確な戦争であり、早く終わってほしいからです。今もたくさんの人々が死傷し、エネルギー価格の高騰も止まりませんが、国際的にも他人事のように思っている方は少なくないようです。
たとえば、予算委員会が始まった17日には、日本の国会にあたるウクライナ最高会議の議員団の来日に合わせて、日本・ウクライナ友好議員連盟主催の意見交換会が衆議院議員会館で行われましたが、神澤は疑問しかないです。
この日も、ウクライナの首都キーウはロシアの自爆型無人機やミサイルで攻撃されているんですよ? この時期に来日する必要があるのでしょうか?
なお、通訳の問題もあるのかもしれませんが、意見交換会の中で日本側の議員が一度も「戦争」という言葉を使わないのに対し、ウクライナの議員たちは「戦争」とはっきり言っていました。
さらに、20日にはウクライナからの避難民を受け入れてくれた感謝として兵庫県知事を表敬訪問し、姫路市長と姫路城で会談をしています。神澤的には単なる観光旅行にしか思えないのですが、読者のみなさまはどのように思われましたか?
細川元首相は芸術でウクライナ支援
戦争に無関心な人が多い一方で、国内では避難民を受け入れる自治体が増え、ウクライナ支援のために尽力している方も、今は2000人ほどいらっしゃいます。
かつては日本でも戦争がありましたから、戦争を体験した世代と語り継がれてきた世代は特にがんばっているんです。その中でも、元首相の細川護煕さんの支援活動をご紹介したいと思います。現在84歳になる細川元首相は、日本新党の党首を務めていた1993年の総選挙で衆議院議員に初当選して、首相に就任されました。
この選挙では自民党の議席が過半数に届かず、政権から転落したことはご記憶の方も多いと思います。ここから非自民連立政権が続くのですが、思えば当時の日本の政治は本当におもしろかったですね。国民の期待感も高かったし、議員たちも正義感に燃えていましたが、そういう思い出話はまたの機会にしますね。
細川元首相は熊本・肥後細川家の第十八代当主でもあり、歴史マニアでなくても興味がありそうな「お宝」をたくさん所有されています。細川家伝来の美術品を所蔵している永青文庫で2015年に開催された「SHUNGA 春画展」は大盛況でしたね。
また、ご健在の歴代首相の中では最古参なので、政治を研究している大学院生などからも取材のオファーが多いそうです。時代の生き証人なのです。また、還暦を機に政界から引退した潔さも印象に残っていますが、現在は芸術家としてもご活躍なのはご存じでしょうか。書や襖絵から油彩画、陶芸まで、素晴らしい作品をたくさん作られていて、お茶碗はなんと一つ百万円くらいするそうです。
9月には、細川元首相が出品して収益金を避難民の支援に充てる「ウクライナ難民支援チャリティ・オークション 細川護熙展」が、東京美術倶楽部(港区)で開催されました。
収益金は「国連UNHCR協会(国連難民高等弁務官事務所の活動を支える日本の公式支援窓口)」を通じて、購入者名義でウクライナ難民支援金として寄付されます。もちろん寄付控除も受けられますから、細川元首相の作品を手に入れられて、ウクライナの方々へ支援もできる、“一石三鳥”の素晴らしい企画です。
せっかくの機会なので、神澤も入札に参加してきました。5点の作品に入札して、そのうち2点を落札できました。神澤の購入費用もウクライナの方々の支援に使われると思うと、うれしい限りです。
細川元首相が出品した135点の作品は、素人の神澤が見ても全部で1億円はくだらないのでは、と思いました。今回はチャリティなので、素人さんも参加しやすいように、入札は相場の3分の1の価格からスタートしました。落札価格から経費などを除いた分が寄付されるそうです。
古美術商の方々も趣旨に賛同し、好意を無駄にしないために個人の方が希望しなかった作品に入札したり、入札が重なったら個人を優先したりと、全作品が落札されるよう配慮してくださったそうです。
会場では、オークションへの思いを語る細川元首相の動画が流れていて、「創作活動を通してウクライナの方々を支援したい」「アーティストとしていてもたってもいられなかった」と、いつもの穏やかな口調ながら、軍事侵略という非人道的な行為に対する憤りをにじませておられました。
動画には、ピカソの「ゲルニカ」(スペイン・国立ソフィア王妃芸術センター所蔵)の写真が使用されていました。内戦中のスペインで1937年に空爆を受けたスペイン北部・ゲルニカの町の惨状を描いた壁画です。
細川元首相は、青年の頃にこの壁画を実際に見て非常に衝撃を受け、現在のウクライナ情勢についても「ゲルニカ」と同じくらいの衝撃を受けたそうです。「ゲルニカ」は著作権が厳しく管理されていて、写真の使用も申請が通らないことが多いそうですが、趣旨を理解されてすぐOKがもらえたと、職員の方が教えてくださいました。
細川元首相が「ゲルニカ」から刺激を受けて描かれたという「百鬼蛮行―わたしのゲルニカ―」も素晴らしかったです。ウクライナの方々の鬱憤と怒り、悲しみの感情が抑えた筆致で表現されていました。
あとこれも細かいことを書くと、政府は「避難民」としていますが、細川元首相は「難民」という表現を使われています。これも「戦争」ととらえるかどうかの違いでしょうか。
それはさておき、細川元首相の太っ腹なボランティア精神に「貴族」の心を見た気がしました。細川元首相と同じことをしなくても、国会議員でなくても、みなさんがそれぞれの立場でできる支援を考えてみてはいかがでしょうか?
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。