ライブ配信サービス「ニコニコ生放送」を利用し、斬新すぎる決済方法を編み出した配信者が話題になっている。
「話題になっているのは『藪。』というニコ生の配信者で、都内の公園などを転々としながら生活している“ホームレスインフルエンサー”です。藪は、生配信中に自動販売機で飲み物を購入する際、PayPayやLINEペイなどのキャッシュレス決済のボタンを押し、QRコードを配信画面に映しました。それを見た視聴者の一人が、決済をおこなって藪に飲み物をプレゼントしたのです。投げ銭などでは配信プラットフォームに手数料を取られますが、この決済方法であれば全額が配信者の利益となるため、“斬新すぎる”と注目されているのです」(芸能記者)
昨今広がっているキャッシュレス決済だが、買い物をしている本人でなくても、さらにはその場にいなくても、QRコードを読み込むことさえできれば決済が可能だ。藪は、その利便性を巧みに利用した買い物方法を編み出したといえる。
一点気になるのは、藪が件の動画の冒頭で「最先端のこじきです」と述べていることだ。実は、このような物乞い行為は「こじき」として軽犯罪法で規制されているのだ。
軽犯罪法第1条22に、「こじきをし、又はこじきをさせた者」は「拘留又は科料に処する」とある。また、同条4には「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」も同様に処罰する規定があり、藪はこれにも該当する可能性がある。
とはいえ、TwitterやTikTok、YouTubeなど、さまざまな動画配信サービス上で、多くのインフルエンサーが動画を配信し、視聴者に投げ銭などを要求している。これらは軽犯罪法が規定する「こじき」行為には当たらないのだろうか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士に、藪の行為に違法性がないのか、話を聞いた。
「見る人の同情や哀れみを誘う言動で金銭などをねだれば、軽犯罪法が禁止する『こじき』に該当し、刑罰が科されます。これは、真面目に働くべき、といった社会的な道徳に反する行為を防ぐためだからです。
この映像では、同情や哀れみを感じさせる様子はあまりありませんが、とはいえ、真実、そういった意図があるなら、とっとと検挙されるべきです」
最近では、子供や動物を使って同情をひいて投げ銭をさせる行為も、少なからず見受けられる。2015年にはネット配信で「お年玉をください」と投げ銭を求めて検挙された例がある。ネット配信サービスの普及によって、気軽にフォロワーに投げ銭を求めることができるようになったが、いずれこれらの行為は取り締まりを受けるのかもしれない。
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)