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日光さる軍団、女性芸人がサルを叩いて頭をグリグリ…「虐待まがい」動画が波紋

文=佐藤勇馬
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猿回し芸人の指導が物議の画像1
『日光さる軍団劇場』

 栃木県日光市のテーマパーク「日光さる軍団」の出張公演で女性芸人がサルに“虐待まがい”の指導をしている動画がSNSで拡散され、6日に公式ホームページで謝罪コメントが発表された。同軍団は「弊社で指導している内容とは大きくかけ離れた行動」としたが、人の目を気にするはずの客前での行為だったことで「日常的にこうした指導をしているのでは」との声も上がるなど波紋が広がっている。

 動画は5日にさいたま市内で行われたショーの合間に観客が撮影したもので、女性芸人がサルに対して芸を指示するもうまくいかなかったらしく、「違う!」と叱りながら足を叩いたり、両肩を強くつかんだりした。最後には、女性芸人が両手の拳でサルの頭をはさんで「グリグリ」と圧迫しているように見える場面があり、サルが悲鳴をあげていた。

 観客からは「嫌がってんじゃん」「マジでかわいそうなんだけど」「本当に(グリグリを)やるんだ」「ヤバくない?」といった声があがり、現場で目撃した人たちから見ても「しつけ」の範疇を超えているのではと疑うような行為だったようだ。同軍団によると、20代の女性芸人が昨秋からコンビを組んだ4歳の雌のサルと新しい芸に挑戦したが、女性のキャリアが浅かったこともあって思い通りにならず、感情的になったという。

 動画の拡散によって批判が高まったことを受け、同軍団の村崎太郎代表は6日にコメントを発表。「社内で調査した所、当該芸人のとった行動に関しては、弊社で指導している内容とは大きくかけ離れた行動になっていた事を確認し、現時点で速やかに芸人と猿との接触をさせない処置をとりました」とし、本来の指導法ではないとした上で「猿と共に生き、共に芸をする関係において、指導以上のこのような突発的な行動が許されるものではないという事を、伝えきれていなかった私の指導不足と痛感し、重ねてお詫び申し上げます」と謝罪した。

 サルのトレーニングに関しては「現段階でも多方面な視点をもって日々検討を続けておりますが、人間よりも小さな動物と向き合う時には、力をもって制するのではなく、自分を猿の立場におき、自分が猿になれと常日頃指導しております」とし、今後については「内部だけでなく、外部からのご意見にも耳を傾け、さらに社内浄化システムの確立をしていかなければならないと心から思っております」として再発防止に取り組んでいくという。

 ただ、女性芸人は観客が見ていることを認識していたと思われ、そういった環境で悪びれることなくサルを叩くなどしていたことから、SNSなどでは「日常的にやっていたのでは」「こういった指導が横行しているのでは」と指摘する意見も飛び交っている。

 「日光さる軍団」をめぐっては、2012年(当時は「日光猿軍団」名義で代表は別人)にバラエティ番組『ほこ×たて』(フジテレビ系)でサルにラジコンカーを追わせる企画をするも怖がってうまくいかず、制作スタッフがラジコンとサルの首を釣り糸で結んで引っ張ることで追いかけているように見せるというヤラセ演出があり、観覧者から「虐待ではないか」と告発されたことで番組打ち切りの一因になった。当時の同軍団は企画への一切の関与を否定したが、ネット上では「番組スタッフが独断で首に釣り糸を結んだのか?」「猿軍団側が誰も知らなかったなんてことある?」といった疑問の声もあがっていた。

 また、2018年にはソフトバンクCMの“お父さん犬”も所属する大手動物プロダクションが「劣悪な環境で動物を飼育している」と動物愛護系のNPO法人などから告発されたこともあるなど、事実関係は別にしても動物を使ったビジネスにおいては何かとそういった疑いが持ち上がることが少なくないようだ。

 動物ビジネスにおいてもコンプライアンスが徹底され、動物たちへの虐待まがいの行為が一掃されることを期待したい。

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

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