離党しない理由
――川内さんは消費税増税反対の急先鋒であり、本会議採決でも反対票を入れられたので、小沢元代表と一緒に離党されるかと思っていましたが、されませんでした。その理由はなんでしょうか?
川内 私は民主党結党時からのメンバーです。この評判の悪いボロボロになった民主党を、「俺が立て直さずに誰が立て直す」という思いです。「民主党ってなんだったの?」という評価のまま終わるとしたら、私は絶対に嫌なんですよ。政権交代選挙の時、国民の皆さんからいただいた「頼むぞ」「変えてくれ」という地鳴りのような期待の声を、私は忘れませんし、何がなんでも応えなければいけないと思っています。
――小沢さんからは、「一緒に党を出よう」と誘われませんでしたか?
川内 小沢さんは、他人の行動に口を出すような人ではありません。なんでも自分の意思で決めろと言う人です。採決直前、「小沢先生のことは尊敬しているし大好きです。しかし、どんなことがあっても私は党に残って、党を立て直したい。それが自分の役割だと思っています。政局の難しいことはわからないので、あとは鳩山由起夫先生と小沢先生とでよく連携され、相談して行動していただければ、我々を指導していただければと思います」と申し上げると、「そうか、そうか」と了承してくださいました。
――懐の深い人なんですね。
川内 本当にそうです。人に命令するような人ではありません。
小沢さんと目指す方向は同じ
――小沢さんと袂を分かったわけではなく、違う場所にいても、お互い目指す方向は同じで、時には連携しながら、また一緒に何か行動する可能性もあるということですか?
川内 そうです。
――川内さんは、小沢さんのどんな点を尊敬なさっていらっしゃるのでしょうか?
川内 ぶれないところです。政治家が言葉を変えたら、国民は何を信じていいかわからなくなると思います。「国民の生活が第一」「格差を是正していく」「みんなが安心して人生を送れるような社会にしていく」は政権交代の大目標でしたが、そこから全然ぶれていません。そういう政治姿勢とか政策に共鳴しますね。私もまったく同じ思いで政界に身を投じましたし、今でもそう信じています。
――今回、川内さんが消費税増税法案に反対したことにより、民主党執行部は川内さんを2カ月間の党員資格停止処分としました。当面は、どのような活動をなされる予定でしょうか?
川内 処分中も、党内会議の傍聴はできると聞いています。傍聴しながら、外から「不規則発言」をしようと思っています(笑)。原発の再稼働、オスプレイの配備、脱原発を現実のものとしていくための「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定などには、コミットしていかなければならないと思っています。また、参議院での消費増税法案の審議もありますから、私たちが問題だと思うことをしっかり世の中に伝え、参議院での審議に反映されるよう、国民の皆さんと力を合わせていきたいと思っています。党員資格停止処分中でも、国民の代表である衆議院議員には変わりありません。党が嫌な顔をしても、言うべきことを言い、やるべきことをやっていきます。
(取材・文=寺尾 淳/ジャーナリスト フィナンシャル・プランナー)