――川内さんは、消費税増税に賛成する民主党の皆さんと議論はなさったんですか?
川内 去年12月と今年3月に、党内の会議でやりました。増税推進派はわれわれ反対派にボロボロにされましたよ。私たちの努力で、消費税を10%に増税した後にさらに増税する「再増税条項」が削除されました。また、努力目標としてではありますが、増税するためには、その時期に一定の経済成長率を達成していることを条件とする「景気条項」が入るなど、消費増税法案は大幅修正されました。でも、会議は非公開のため、議論の中身が国民の皆さんに伝わらず、「民主党がもめている」としか報道されないのは、本当に口惜しいことでした。増税推進派は「総理が言うから」と繰り返すだけで、最後は前原(誠司・党政調会長)さんがキレて「執行部一任」と言い、議論が終わったんです。
――そういった一連の執行部のやり方について、どう思っていますか?
川内 「あまり、うまいやり方ではないな」と(笑)。結果が国民生活にストレートに反映される与党内の会議は、すべて公開して、議論を国民の皆さんに見ていただくべきです。テレビの生中継でもすれば、国民は食い入るように見て、「民主党は面白い議論をしているな」と評価するのではないでしょうか。大手メディアからまったく発信されないことが、私たち民主党から提起され、財務省も恐れ入ったと思いますよ。それがまさに「政治主導」だと思います。
――官僚主導に風穴を開けられますね。
川内 そうすれば官僚も、「大臣、副大臣、政務官をごまかして、執行部一任を取り付けて、国会に上程させ、審議時間を稼げば法案は成立する」なんて思わなくなりますよ。そうでないと、イノベーションは絶対起きません。過去20年の日本の政治はまさにそうでした。だから名目成長率がこんなに落ち込んだ。イノベーションは誰か一人の小賢しい知恵で起きるのではなく、みんな寄り集まってすごい気合で議論する中から知恵が生まれ、新しい発展のステージに入っていくものです。
――なぜ議論を公開しなかったんですか?
川内 執行部は、党内に言うことを聞かせたい。そのための会議だったんでしょう。総理はただ消費税を上げたいだけですから、「あとの肉付けは民主党の諸君に任せる」と言えばすごくいい法案ができたはずです。その肉付けを官僚に任せて、先ほどお話しした党内会議を、執行部案を了承するためのものにしたから、おかしくなったのだと思います。