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養護施設は『明日ママ』よりもっと悲惨だった…体罰、性的虐待の実態を出身者が告白

文=編集部
養護施設は『明日ママ』よりもっと悲惨だった…体罰、性的虐待の実態を出身者が告白の画像1『明日、ママがいない』公式サイト(「日本テレビ HP」より)

 今クール(1~3月期)の連続テレビドラマで、児童養護施設で親と離れて暮らす子供たちを描く『明日、ママがいない』(日本テレビ系)をめぐり、赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を設置している慈恵病院(熊本市)が「児童養護施設の子供たちへの差別を助長する」との理由で、同局に放送中止を要請。さらに全国児童養護施設協議会も同様の抗議文を同局に送付し人権への配慮を求めるなどして波紋を呼んでいたが、2月5日には日本テレビが同協議会側に文書で謝罪していたことが明らかとなった。

 同協議会によると、日本テレビはドラマを見た施設の子供が自傷行為に及んだことについて「子供たちにおわびする」と謝罪するとともに、施設で暮らす子供を傷つけないよう配慮する意向や、施設の現状について取材不足であったとの認識を表したという。その一方、日本テレビは「改めてドラマを最後までご覧になっていただきたい」と放送を継続する意向を示し、5日夜も予定通り第4話を放送した。

 一連の騒動の発端は、同ドラマの第1話(1月15日)が放送された翌日16日、前出の慈恵病院が開いた記者会見だった。第1話内では、赤ちゃんポストに預けられたという設定の子役に「ポスト」というあだ名がつけられたり、施設長が「お前たちはペットショップの犬と同じだ」という言葉を子役たちに浴びせたり、子役たちを平手打ちにするなどのシーンも見られた。これを受け慈恵病院の蓮田健・産婦人科部長は会見で「施設の現状を知る視聴者は少ない。フィクションと言っても誤解されかねない」「同じ立場の子供が聞いたらどれだけ傷つくか」などと、日本テレビに同ドラマの放送中止と謝罪を求めたことがきっかけとなり、同ドラマが施設に対する偏見を与えかねないとの批判がさまざまな方面から日本テレビに寄せられる事態となっている。

 そんな中、実際に3~18歳までを東京都内の養護施設で過ごした経験を持つ元・埼玉県新座市議の立川明日香氏は、本日(2月7日)発売の「フライデー」(講談社/2月21日号)内で「私の養護施設での体験は、ドラマよりもっと悲惨でした」と告白している。

 立川氏によれば、養護施設では早朝5時半の起床や部屋の掃除から夜9時の就寝まで、分単位のスケジュールや細かい禁止事項が決められており、これらを破ると「耳鳴りがしばらく止まないほど何回もビンタされ」(立川氏)たり、段ボール箱の中で一晩中正座させられたという。また、背中に「私はバカです」と書かれた紙を貼られ、姿勢を正すために服の中にホウキや洗濯板を入れられたこともあったと明かしている。

 さらに、2~3歳年下で立川氏と仲の良かった女の子は、小学校高学年から中学を卒業するまでの間、20代の男性職員に宿直の部屋やトイレに連れ込まれ性的虐待を受けていたとも証言している。立川氏によれば「その子は自分が穢れた存在だと思い込み、お風呂では血がにじむほど身体を洗っていました」と当時の様子を告白し、彼女は中学卒業後に就職して施設を出たが、複数回にわたり自殺未遂を繰り返し、現在では精神科の病院に通院しているという。

 そうした過酷な環境でも立川氏ら児童は、職員からことあるごとに「あなたたちは幸せ者だ」と言われていたため、悲惨な状況下にあるという認識を持っていなかったといい、立川氏は「叱られてもビンタされても、愛情を注いでほしくて言うことを聞いていた」と当時を振り返っている。

 2月3日、田村憲久厚生労働大臣は同ドラマが子供に与えた影響を調査すると発表しているが、今回の騒動をきっかけとして、立川氏が指摘するような好ましくない環境が現在も一部の養護施設で放置されていないのか、今一度しっかりと調査を行う必要があるのではないか。一連の問題をたんに騒動として終わらせるのではなく、親と離れて暮らす子供たちにとってかけがえのない受け皿である児童養護施設をめぐる現状や在り方について、より建設的な議論に発展させることが求められている。

 前出の同協議会によれば、2月4日、日本テレビの制作局長らが同協議会を訪問し、抗議に対する回答の文書を手渡し謝罪するとともに、施設の現状について取材不足との指摘に対しては「表現上留意すべき点などをより慎重に確認しておく必要があった」と認めたという。これを受け同協議会は、日本テレビに対し番組内などで改めて謝罪するよう求めた上で、今後の対応を見守ることにしている。

 一連の騒動は同ドラマの提供スポンサーにも影響を及ぼし、第1話放送時には8社のスポンサー名が放送内で表示されていたが、騒動を受け第2話(1月22日)では全社の表示を取りやめ。第3話(29日)では全社がCM放送を見合わせるという異例の事態に発展し、2月5日に放送された第4話では、番組や放送時間を指定しない契約であるスポットCMすら流れない事態となり話題となった。

 また、同ドラマ第1話では14.0%であった平均視聴率(関東地区/ビデオリサーチ調べ)は、第3話(1月29日)で15.0%まで上昇したものの、今週2月5日放送された第4話は同ドラマとしてはこれまでの最低となる13.1%を記録した。脚本監修は、過去に『高校教師』(TBS系)や『家なき子』(日本テレビ系)などを手掛けた人気脚本家・野島伸司氏が担当している。
(文=編集部)

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