ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 重い奨学金返済、深刻化する滞納問題
NEW

重い奨学金返済の実態~深刻化する滞納問題の陰に、支援機構の対応不備も

重い奨学金返済の実態~深刻化する滞納問題の陰に、支援機構の対応不備もの画像1日本学生支援機構(「Wikipedia」より/Asanagi)
奨学金が返せない」という報道は、2008年頃から頻繁に見られるようになった。

 それは、日本学生支援機構が奨学金を受ける学生に対して、奨学金の返還を滞納した場合にはシー・アイ・シー(CIC)などの指定信用情報機関へ情報掲載することの同意を取るようになったことに起因する。14年になっても、依然として滞納問題は解消していない。各メディアの報道では、定職に就けず奨学金をまったく返せない人にばかりフォーカスされている。

 そこで、今回は奨学金をきちんと返しているK氏(仮名)に話を聞いた。

●新卒から数年はつらかった

 K氏は、社会人5年目の27歳男性。現在の月給は約28.5万円で、ボーナス込みの年収は約420万円。家賃6万7000円の賃貸アパートに住んでおり、趣味はインターネットやゲームというオタク系だ。

–奨学金として借りた額はいくらですか?

K氏 約800万円です。高校1年の終わり頃に親がリストラされ、高校2年から大学4年まで奨学金を借りていました。高校の時は月額1万8000円、大学の時は月額15万円と入学時の特別増額で30万円ほど借りました。幸い、国立大学に入学したので、なんとか授業料を払いながら4年間乗り切れました。

–現在、返済している額と期間はどのくらいですか?

K氏 月額約4万円で、返済期間は20年間です。有利子のものが480万円で利率が約1%、残りの320万円は無利子です。

–月額4万円の返済では、生活が苦しくないですか?

K氏 最近は、そうでもなくなりました。月の家計をまとめてみますと、手取りは22万円くらいです。食費は3万円と、1回当たり5000円前後の飲み会が2回ほどで、飲食費全体としては月4万円くらいです。家賃が6万7000円で、光熱費が6000円くらい。通信費がインターネットと携帯電話を合わせて1万円なので、差し引きすると約5万7000円が自由に使える額です。

 ただし、ここから被服費だったり、休日に出かける遊興費、実家に帰省する交通費、趣味にかけるお金などを払うと、ほとんど残らないのが現状です。

 あとは、ボーナスが今年度は手取りで40万円ほど支給されましたので、自宅の家電やPCを買い替えて、残ったお金20万円を貯金に回しました。

–車は持っていますか?

K氏 持っていません。車を買うとなると、今の収入では苦しいです。実は免許すら持っていません。だから、実家に帰省する時はいつも電車です。ただ、実家のほうは公共交通機関の本数が極少ですから、親が老齢で動けなくなったら、車を持たなければならないと考えています。

–奨学金の返済がつらいと感じますか?

K氏 今の給料では貯金はほとんどできませんが、返せない額ではないので、そこまでつらいとは感じません。ただ、新卒の頃はつらかったです。学生の時は、毎月15万円の奨学金のほかにアルバイトで10万円くらい稼いでましたが、新卒時の手取りは17万円くらいだったので、奨学金を返済すると、学生の頃よりも自由に使えるお金はありませんでした。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

重い奨学金返済の実態~深刻化する滞納問題の陰に、支援機構の対応不備ものページです。ビジネスジャーナルは、社会、の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!