松島みどり法務相がうちわ問題で辞任し、観劇会問題に端を発する自身の政治団体や資金団体の不透明な資金収支問題で小渕優子経済産業相も辞任。さらに小渕氏の後任である宮沢洋一氏のSMバー支出問題発覚に加え、30日朝には東京地検特捜部が小渕氏の後援会事務所を家宅捜索するなどして、国会が空転。第2次安倍改造内閣は多難に見舞われている。
10月24~26に日本経済新聞社が行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は48%と9月末の調査より5ポイント下がった。野党は「政治と金」で安倍内閣を追及する構えを崩さないが、政治の優先課題として国民が望んでいるのか、はなはだ疑問ではある。
国民は現在、どんな政治テーマに関心を持っているのだろうか。
インターネット調査会社マクロミルが定点観測している「MACROMILL WEEKLY INDEX」のデータで「政治テーマ」を見てみると、今最も国民の関心を集める政治テーマは「経済・金融政策」である。グラフを見ると、今年の6月から関心が上昇し続けていることが読み取れるが、これは消費増税の影響である。
総務省が発表している家計調査では、家計支出は4月の消費増税以降5カ月連続でマイナスになっており、日本チェーンストア協会が発表している全国スーパー売上高も6カ月連続で前年割れとなっている。消費税増税後の日本経済は失速しているのだ。そんな中、政府は12月に来年の消費再増税(10%)の判断をするとしているが、日経新聞の世論調査でも「消費税増税反対」が70%に達し、「賛成」を大きく上回っている状況である。
●「外交・安全保障政策」への関心は低下
また、「MACROMILL WEEKLY INDEX」のデータに戻り「外交・安全保障政策」を見てみると、7月以降同テーマへの関心が低下し続けている。これには2つの要因がある。一つは中国の対日姿勢の緩和、もう一つは北朝鮮の拉致問題解決の遅れである。
中国の習近平国家主席は、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での安倍首相との会談の準備を進めているといわれている。中国経済が鈍化しつつある中、日本からの対中投資が減り続けており、これまでの対日強硬姿勢を和らげているとみられている。連日のように尖閣諸島問題が取り上げられていた時とは比較にならないほどマスコミ報道も落ち着き、国民の対中感情も落ち着き始めている。また北朝鮮については、拉致問題再調査の結果報告が今秋までに行われる予定だったが、北朝鮮が一方的に遅れることを通告し、国民の期待感も下がってしまった。