さて、「旬の牡蠣フライ」と表示されていれば、客は「今年の9月以降に収穫された牡蠣」だと思ってしまいがちですが、例えば冷凍牡蠣フライであれば今年の1月2月に収穫したものがほとんどになります。牡蠣は、生や鍋よりもフライのほうが大きなものを使用します。そして実は牡蠣は、1~2月のほうが大きく育ち、12月には大きな牡蠣はあまり捕れないのです。しかし、1~2月に収穫したものをこの時期に「旬」と謳うことには疑問を感じます。
●プレミアム商品の条件
ここ数年、コンビニやスーパーでは、よく「プレミアム○○」という表示を見かけます。この言葉の意味は、形容詞としては「高級な」「高価な」「希少な」「選別された」という意味になります。金属でいえば、鉄よりも銅、銅よりも銀、銀よりも金が希少であり、高価な金属になります。食品で「プレミアム」と表現するためには、消費者が食べた時に満足感を感じるものでなければなりません。そして作り手側は、客観的・合理的に「プレミアムである」と謳う根拠を数値で説明できる必要があります。
例えばビールやお酒であれば、飲んだ時の風味、のどごし、味などに通常品より深みがあり高級感を感じ満足すれば、プレミアム商品だといえます。メーカーは客から「なぜ味に深みがあるのですか」と質問を受けたら、「樽での保管年数が長いモルトを使用し、より深みが出るブレンドを行った」などと合理的な説明ができる必要があります。
デジタルカメラであれば、イメージセンサーの大きさや画素数が合理的な説明の根拠になるはずです。さらに使用時の全体の質感、持った時の満足感・高級感が必要になります。
しかし、最近「プレミアム」を連発しているメーカーや流通企業は、こうしたことを理解して「プレミアム」という表現を使用しているか疑問です。今、巷にあふれている「プレミアム商品」は、本当にそのメーカーを代表する商品に値するものでしょうか。「プレミアム」の表現に騙されて購入しても、食べた時に満足感を感じなければ、その店舗で販売されているすべての「プレミアム商品」に不信感を持ってしまいます。