「単純に客単価を上げようという戦略でしょう。実際には、ハリー・ポッターエリアは一定以上の客数になると整理券が発行されますし、いったん入場すれば多くの客が滞留します。一番人気アトラクションの『ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー』に乗ろうと思えば、3時間程度の待ち時間の列に並ばないといけません。混雑緩和を目的としたとはいえないでしょう」(同)
●カネを払えば、待ち時間を短縮できる
その一方でUSJには、長時間並ばなくて済む方法としてユニバーサル・エクスプレス・パスやロイヤル・スタジオ・パスが販売されている。ユニバーサル・エクスプレス・パスは1日券とは別に購入するチケットで、例えばハリー・ポッターエリア入場確約券が付いて、5種類のアトラクションに1度ずつ優先的に乗れるユニバーサル・エクスプレス・パス5は4700円(入場日によって価格は変動)などとなっている。さらに、対象アトラクションに何度でも優先的に乗れるロイヤル・スタジオ・パスは2万700円だ。
「つまり、2万円払えばなんでも最優先で楽しめるけれど、それ以外の方は年間パスを購入して行列に並んでくださいということです。このえげつない商法を続ければ、短期的には東京ディズニーリゾートの売り上げを超えるかもしれませんが、年間パスを更新し続けようという人はそれほど多くないでしょう。東京ディズニーリゾートの場合は、『満足したから年間パスポートを購入しよう』と思わせるビジネスモデルですが、USJは『満足したければ年間パスポートを買って何度も来てください』と押し付けるビジネスモデルなのです。確かに客単価は上がりますが、年間パスポートを毎年買わせるほどの魅力あるイベントを打ち出せるかが課題となります」(同)
『プロフェッショナル』では、値上げ後の年間パスの売り上げが思ったように伸びず、「株主への説明をどうするか」と森岡氏が眉間にシワを寄せて考えているシーンが放送されていたが、USJの筆頭株主は大手外資系金融機関ゴールドマン・サックス系のファンドだ。USJはカネがすべての資本主義を体現した世界と思えば、納得できるのかもしれない。
(文=編集部)