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フィリピンで旅行業を営むAさんは、かつて自分の会社に籍を置いていた元従業員に足を引っ張られたという。
「元部下が当社から独立した後、インターネットの掲示板で当社の悪口を書いてネガティブキャンペーンを展開したのです。匿名でしたが、関係者しか知らないことも書かれていたので、元部下の仕業だとすぐにわかりました」(Aさん)
噂が広まったことで、Aさんの会社は業績が悪化したという。Aさんは、このネガティブキャンペーンは自分の会社だけではなく業界全体に悪影響が及ぶと懸念する。
「ネットに書かれている噂を見るのは同業者だけではありません。足の引っ張り合いをしている業界との印象を持ったお客様が、敬遠することになりかねません」(同)
このように同業の日本人同士が潰し合った結果、海外からの撤退や廃業を決めるケースは、これから珍しい話ではなくなってくるかもしれない。
●相互補助の動きも
こうした現状を懸念して、まったく別の動きも起きつつある。
現在、ブームになっているフィリピン英語留学の業界では、現地で学校を運営している若手日本人経営者たちがフィリピンでユニオンをつくり、情報共有や相互補助の動きを見せているのだ。
ユニオンへの参加を検討している経営者の一人は「まだまだこれからですが、同業者同士で連合することはなかったので、話し合いや意見交換の場が持てただけでも貴重だと思います」と語っている。
このような動きが拡大することは、すでに海外で起業している人だけでなく、これから海外進出を目指す人にとっても望ましいことだろう。
(取材・文=丸山佑介/ジャーナリスト)
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