9月24日、女優・川島なお美さんが肝内胆管がんのために54歳で亡くなった。10月1~2日には通夜および告別式が東京都青山葬儀所で営まれ、いずれも約1500人が参列、作家・林真理子や女優・倍賞千恵子など、生前に交流のあった著名人も多数訪れた。
川島さんといえば、「私の血はワインでできている」と公言し、1日3食ワインを飲むこともあるほどのワイン好きとして知られており、1999年には日本ソムリエ協会ワインエキスパートの資格を取得、2001年には同協会の名誉ソムリエに就任していた。
そんな故人を偲ぶように、棺のそばには、生まれ年と同じ1960年製の高級ワイン「ロマネ・コンティ」をはじめ、6本のワインや犬のぬいぐるみなどが置かれた。
喪主を務めた夫の鎧塚俊彦氏は、「最期は私の手をしっかり握って、頭を上げて、僕の目をしっかり見つめて人生の幕を閉じました。最期まで立派で、最期まで川島なお美のままでした」と語っている。
川島さんは2013年夏に腫瘍が見つかり、14年1月には約12時間にわたる手術を受けていたが、それから2年足らずで帰らぬ人となってしまった。胆管がんは、アルコールを分解する肝臓のがんに分類されるため、一部では「過度のワイン摂取が、がんの罹患に影響しているのではないか」ともいわれているが、実際はどうなのだろうか。
ワインとがんの関係性について、新潟大学名誉教授の岡田正彦氏はこう語る。
「胆管がんは、タイ、中国、韓国、日本で多く、欧米ではほとんど見られないという特徴があり、その差は約500倍です。また、過去40年ほどの間に世界的に増加しており、患者数が15倍になった国もあります。これらの事実からわかるのは、この病気は遺伝性ではなく、生活環境に原因があるということです。
これまでに指摘されているリスク因子としては、寄生虫、胆管のう胞、結石、胆管炎があります。ほかに肝炎、肝硬変、肥満、糖尿病、アルコール、たばこなども、発がんを後押ししているのではないかと考えられています」
胆管がん、以前に日本で多発していた
飲酒も一因の可能性があるものの、はっきりとした因果関係はないようだ。また、岡田氏は別の要因も指摘する。
「以前、日本で胆管がんが多発した地域があり、原因はジフェニルエーテル系農薬と特定されました。この農薬は、日本では製造中止となっていますが、外国で使われている地域があるとすれば、現地のぶどうに付着、そのぶどうがワインとなって影響を与えた可能性もゼロとはいえません。
しかし、ワインと胆管がんの因果関係を示すデータは現時点ではなく、その可能性も皆無でしょう。胆管がんは、飲酒も含めて、環境中や生活習慣上のさまざまな要因が複合的に作用して生じるものと考えるのが妥当です」(岡田氏)
はっきりとした要因があるというより、普段の生活習慣などから胆管がんに罹患してしまうようだ。
(文=編集部)